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週べ60周年記念

今度は森安、東映にも黒い霧/週ベ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

好調維持する阪神・田淵幸一


表紙は巨人王貞治



 今回は『1970年6月1日号』。定価は80円。
 
 八百長問題、黒い霧について、球界きっての論客、近鉄・三原脩監督が口を開いた。
 おそらく打たれ放題の球界の“防波堤的”存在になってほしいというのが依頼理由だと思うが、ここまで来たら、そう簡単ではない。

「ベースボールで、八百長はまずできない」
 と言い切っているが、やったというヤツがいるのだから仕方がない。

 珍しく感情的になっている印象もある。
 国会議員から電話で「八百長の問題は監督の管理責任もあるのではないか」と言われ、「それならあなたの秘書は絶対に過失を犯さないと言い切れるのか。もし過失を起こしたとき、責任を取るのか」と言うと、黙ってしまったという話もあった。
 
 こんなことも書いてあった。
「八百長は個人が犯した過失である。その責任を野球機構が取るというのはおかしい。
 むろん生活指導の必要もあるだろうし、どこに原因があったか掘り下げることも必要である。しかし、それは責任をとるということとは別の問題だ。
 大きな矛盾、小さな矛盾が入り乱れているのが社会の実相である。矛盾がないなどと思うのは、よほどのバカか坊主か先生か国会議員かであろう」
 三原監督にしてはキレが悪いような気がするが、どう思われるか。

 事件のスピードが速すぎて週刊誌サイクルはきついようだ。いろいろなことが同時進行的に起こっている。

 西鉄・基満男の件もあったが、これはもう仕方ないだろう。

 遠征先の喫茶店で与田順欣から「今日負けなければ熊本の実家が二、三百万円で人手に渡ってしまう。だから打たんでくれ」と泣きつかれたが、「そんなことはできん」と断ると、封筒に入れた20万をテーブルに置いて、「待って」という声も聞かず、そのまま去った。
 当然、八百長などしていない。試合後、お金を返しにいったが、第三者がいたため返すことは控え、福岡に戻ってから与田の自宅に行って返した。

 東映・森安敏明田中調の八百長疑惑も佳境になっていた。
 永易将之が藤縄に紹介し、60万円を渡し、八百長を依頼したという。2人は、おカネは受け取っていないと主張、八百長行為も断ったというが、その後、芸者を連れ出し、クラブでどんちゃん騒ぎをしたのは認めていた。

 近鉄とヤクザの関係の話もあった。こちらはかなり長く、しかも根深いものがあったが、三原監督が大胆なトレードで疑わしい選手を次々放出。逆にその選手を引き受けた球団が「三原さん、それはないよ」となっていたようだ。

 2年目の阪神田淵幸一が順調に打ちまくり、25試合消化時点で打率.292、10本塁打、19打点。10本はリーグトップだ。王貞治(巨人)は、
「すげえな。この調子だと何本打つのか想像もつかん。やるねえ、田淵君」
 と言っていた。

 法大の同期、広島山本浩司(浩二)の評判もいい。打撃ではなく、その強肩だ。走者二塁でセンターにゴロが行くと、ホームでのクロスプレーを期待し、大歓声が飛んだ。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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