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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

森下は? 小園は? 広島キャンプの注目の争いをピックアップ

 

最大の激戦区は捕手


3年目で初の一軍キャンプスタートとなった中村奨成


 いよいよ「プロ野球界のお正月」ともいわれる、2月1日のキャンプインが間近に迫ってきた。もっとも、開幕が3月20日と、例年より約1週間繰り上がっている今季は、各球団、2月中旬には実戦がどんどん入ってくるスケジュールになっており、選手にとっては、「今年も始まるぞ」という気分は自主トレスタートのときに、すでに終わっているかもしれないが……。

 佐々岡真司新監督の下、セ・リーグの覇権奪回を目指す広島も、先乗り組がキャンプ地に入るなど、キャンプインに向けた動きが進んでいるが、ここではキャンプの一、二軍のメンバー分けから、ポジションごとの注目の争いをピックアップしてみたい。

 今季のキャンプのメンバー分けでまず目につくのは、長野久義菊池涼介といったベテランが二軍キャンプスタートになっていることだ。これは、今年二軍キャンプが暖かい沖縄でのスタートとなったことと、第1次キャンプが2月11日までと比較的短いという条件になったことによるものだろう。すでに調整法が自分で分かっているベテランは、この措置でキャンプをずっと沖縄で過ごせることになり、より暖かいところで移動の負担なく調整できる、というわけだ。そしてその分の一軍キャンプの人数枠は、新人や若手選手のチャレンジに振り分けられる。簡単に言うと、二軍の第一次キャンプは、高卒の若手選手とベテランと故障上がりの選手で構成され、それ以外の選手が一軍の第一次キャンプでサバイバルレースに挑む、という感じになる。

 ではざっとポジション別に見ていこう。投手では、やはりまず期待のドラフト1位・森下暢仁が本格的にベールを脱ぐことになるのが楽しみだ。ここまでの調整は、自分のペースで進めることができており、順調なよう。実戦形式の中で、どんな内容を見せてくれるか。若手では、3年目のケムナ誠が一軍メンバーに入った。150キロ級のストレートを持ち、昨年終盤にプロ初登板を経験した投手で、先発でもリリーフでも使える可能性があるが、島内颯太郎が二軍スタートになっているので、リリーフの枠のほうにチャンスがあるか。左腕では、昨年一軍登板のなかった高橋樹也が一軍スタート。中村恭平塹江敦哉といった速球派と左腕投手の枠を争う。

 そして何と言っても最大の激戦区は捕手だ。一軍スタートはレギュラーの會澤翼、K.ジョンソンの女房役の石原慶幸に、打力のある坂倉将吾、そして3年目の中村奨成が初の一軍キャンプスタートとなった。さらにルーキーの石原貴規といったメンバーだ。昨年までファームを担当し、中村奨の歩みを見てきた倉義和コーチが今季から一軍担当となっており、中村奨にとってはいい環境でのチャレンジとなるかもしれない。順当にいけば、第二次キャンプからは磯村嘉孝が一軍に合流してくることが予想されるだけに、ともに肩を武器とする石原貴規と、どちらが一軍に食らいついていけるかの争いになる。

田中と小園のショート争い


 内野では、右ヒザの手術から復活を目指す田中広輔が一軍メンバーに入っており、ここまでの回復は順調なよう。昨年後半にスタメンの座をつかんだ小園海斗とのショート争いが何と言っても注目だ。体調が元に戻れば、まだまだ守備力や経験では田中広も譲らないはず。一方、小園の武器は打撃のパンチ力と若さ、そして将来性だ。課題は1年間調子を維持して戦い続けてゆくという意味でのスタミナだろう。内野手のベテランでは菊池涼介、小窪哲也が二軍スタートとなっているが、若手のテスト的な選手は入っていないので、一、二軍の入れ替えに関しては、中堅、ベテラン選手による掛け値なしのサバイバルレースになる。

 外野では、バットを寝かせる打法に変えて長打力アップにも手ごたえを感じている野間峻祥がどこまで結果を出していけるか。野間か田中広でしっかり一番を固められれば、三番・西川龍馬、四番・鈴木誠也と理想的なオーダーが組めることになるのだが……。左打ちで俊足という同タイプの外野手・宇草孔基も入ってきただけに負けられない。第二次キャンプからは長野久義の合流が予想され、一軍サバイバルという意味では、右打ちの正隨優弥高橋大樹あたりにとっては、一軍生き残りをかけた必死の戦いになるだろう。

 果たして、第二次キャンプスタート時の入れ替えで誰が勝ち残り、さらなる生き残りに挑む権利を得るのか。そしてレギュラー争いの行方は。目が離せないことになりそうだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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