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川口和久WEBコラム

筒香が抜けたDeNAの四番は誰が似合うか?/川口和久WEBコラム

 

大谷ができるなら筒香もできる


ハマの星になれるか


 明言はしていないようだが、ラミレス監督は「四番の夢」を佐野恵太に懸けるようだね。
 筒香嘉智のあと、四番とキャプテンの継承者か。
 いいんじゃないかな。DeNAにはソト、ロペス、宮崎敏郎という強打者が3人いるが、宮崎は三番、ロペス、ソトは五番タイプ。助っ人2人は少し楽な場面で打ったほうがいい選手でもある。
 でも考えてみたらこの3人に筒香がいたんだから、すごい打線だ。ラミちゃんも筒香がいるうちに優勝したかっただろうな。

 筒香は口数は多くないけど、人間性は最高。あれだけの選手で、あれだけ謙虚って珍しい。だからチームメートに好かれたんだろう。
 ただ、メジャーの世界はまったく別物。レイズでは正直、不安だらけだと思う。
 技術やスピード、パワーもあるけど、立ち位置も問題もある。長打力を期待された筒香は、ある意味、日本のおける助っ人と立ち位置は同じ。打たなくても我慢して使ってもらえるかも分からないしね。
 筒香は、そういう状況で自分のプライドを押し出し、こじらせるタイプじゃないと思う。「自分はルーキー」と割り切って、必死に野球に取り組んでいくはずだ。

 それに、俺は「不安」こそ「成功のもと」だと思っている。
過信して、自信たっぷりやって成功することもあるけど、それだと一度、鼻をへし折られるとなかなか上がってこられない。
 不安を抱え、それを打ち消すために準備し、それでも最後、打席に入ったら、もう迷わない。
 それが成功する選手のメンタルだし、筒香もそうだと思う。
 エンゼルスで大谷翔平が打者としても成功した。筒香のポテンシャルが大谷より下だとは思わない。大谷ができるなら筒香もできると信じている。 

 まあ、確かに最初は、あの滑るように変化するメジャー投手の球を芯に当てられるかどうかと言えば、簡単じゃない。かなり苦労はすると思う。
 でも、だからと言って当てにいくのではなく、しっかりボールを強くたたく、ということを愚直に繰り返していけば、きっと結果は出ると思うよ。

リアル得点圏打率が高い


 で、筒香のあとの四番に話を移そう。岡山県出身、広島・広陵高出身と聞くと、親近感がわくな。

 データを重視する、ラミちゃんらしい選択だと思う。
 佐野は規定打席はいっていないが、得点圏打率が.367と高い。ほかにも規定未満で、得点圏打率では佐野を上回る選手はいるが、打席数や打点から考えると、佐野が“リアル得点圏”というか、本当に点につながる場面で打っているのが分かる。
 四番にも11試合座り、打率.316を残しているしね。

 俺も四番像の条件には「勝負強さ」を挙げる。カープの山本浩二さんがそうだった。得点圏打率とかそういうデータは知らないけど、あの人は打ってほしいときに打ってくれる人だった。
 まさにザ・四番だ。

 もちろん、データがすべてじゃないが、筒香を出塁率の高さから二番に回したときもそうだけど、ラミちゃんのデータ野球は百発百中じゃないにせよ、大外れはない。
 当然、キャリアハイの翌年となると相手のマークが強烈になる。壁に当たることもあるはずだが、四番というより、四番目に打つ佐野が楽に打てる状況になるかどうかもあるだろうね。それができていればベイスターズは強いと思うよ。

 佐野はドラフト9位でしょ。それこそドラフト外みたいなところから這い上がって四番になるのもドラマだよね。長嶋茂雄さんのメークドラマじゃないけど、ドラマの先には、新たなるドラマが生まれるもの。98年以来の優勝のカギは佐野の四番定着かもしれないね。

写真=BBM
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