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2020春季キャンプ

FA加入した美馬学はロッテの開幕マウンドへ自然体で歩みを進める

 

石川(右)と並びブルペンで111球の熱投を見せた美馬


 2月8、9日のロッテ石垣島春季キャンプは2日続けて台湾・楽天モンキーズとの交流戦。第1戦は20対4で大勝、第2戦は前日に本塁打を放ったドラ5ルーキー・福田光輝の逆転打で7対6の勝利と若手野手たちが仕上がりの良さをアピールしたが、その裏で開幕マウンドを争う投手たちもそれぞれ着実に状態を上げている。

 8日は二木康太種市篤暉岩下大輝の若き3右腕がそろって気合十分のピッチングを見せ、翌9日は石川歩美馬学の両ベテランが腕を振った。特に楽天からFA加入した美馬は111球を投じる熱のこもったピッチングを披露。第2クール最終日にギアをひとつ上げてきた。

 時折、股関節の動きと体重移動を細かく確認する。手投げにならないように、下半身からの連動でしっかりと体のねじりからねじり戻しができているか。「良くないときは体の横回転がしっかりできず、手投げになってしまう。しっかりしたフォームで投げることができれば、ボールは勝手にいってくれますから」。悪癖ではあるが、自ら修正可能な“チェックポイント”として機能する改善点だ。

「最後のほうは思うようにいかなくて」とブルペンでは予定の100球前後を越えても投げ続け、全体練習後も室内練習場でフォームを確認しながら平地とは思えぬ生きたボールを投げ込み“チェックポイント”の確認と修正に余念がなかった。

 これまで毎年のようにケガに悩まされ、何度も右ヒジにメスを入れてきた。手術は6回に及ぶ。FA移籍という重圧、新天地への順応など多くのハードルはあるものの、33歳右腕にとってはそもそも、フィジカルの不安なくキャンプを迎えられているだけで順調そのものなのだ。

 そんな中でも過去4年で3度の規定投球回到達と、シーズン単位で考えれば抜群の安定感を誇ってきた。昨季、ロッテで規定投球回に到達した投手はゼロ。当然、開幕投手候補にも名前が挙がるが、「全然、意識はしていませんよ」とマイペースを貫くばかりか、「種市は強いボールを投げますね」と若きライバルを称えるほどだった。

「しっかり投げ続けて、規定投球回をクリアする。求められているのはそこだと思うし、それがクリアできるということはそれなりのピッチングができているということ。数字はあとからついてくると思います」

 飄々とそう語る言葉に偽りはないだろう。が、ピッチングの合間に浮かべていた笑顔からは充実感がにじみ出ていたのは事実。結果的に開幕マウンドを任されることになっても、「求められているもの」に応えるだけのピッチングを見せてくれるはずだ。

写真=BBM
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