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川口和久WEBコラム

ロッテは佐々木朗希のためにマリンの壁の穴を埋めたら?/川口和久WEBコラム

 

大船渡の監督の気持ちが分かった?


投げる球の質は驚異的だ


 12球団のキャンプの様子をCSでザッピングしながら見ていたときだった。
「なんだこれは!」と思って、食いつくように見入ってしまった。
 ロッテのルーキー、佐々木朗希のブルペンでの立ち投げだ。
はっきり言ってモノが違った。
 まだ、線も細いし、体ができていく過程ではあるけど、体や腕の使い方、リリースがすごく柔らかい。ボールのスピン量もすごかった。立ち投げでも150キロは出てたんじゃないかな。

 あのとき、実は大船渡高の監督のことを考えていた。決勝で投げさせず、日本中から批判を浴びた監督。あのときは俺も批判した一人だったけど、あの球を見てたら思ってしまった。
 俺が監督でも投げさせなかったかもしれないなって。
 そのくらいの逸材だ。
 
 もちろん、だからと言って開幕から一軍で使うというのはプロの選択じゃない。
 技術的な課題はたくさんあるし、1試合1シーズンを投げ切るスタミナもつけなきゃいけない。今の調整の仕方で開幕に間に合わせるのは不可能だし、ロッテの首脳陣もそのつもりでやっているはずだ。

 ただ、オリンピック明けの後半戦から一軍で投げさせるとしても、やはりスター性のある選手だから、そこから投げさせて経験を積むというよりは、最初から鮮烈デビューでドラマをつくってほしい。
 そのために必要なのは環境づくりとメンタルケア。不安要素を取り除き、気楽とまではいかないにせよ、思い切って腕を振って投げられる環境づくりをしてほしい。

 そうなると、やっぱりZOZOマリンは難しいかな。
 あの球場は速球派にとっては鬼門だ。外野から強い海風が吹き込み、ネット裏に当たってマウンドの投手にとって向かい風になる。
 風くらいでそんなに変わらないだろうと思うかもしれないが、そんなことはない。いつもとは言わないが、マリンの風で打者の手元でのひと伸びがなくなるときがある。
 要は投手のイメージどおりの球が投げられない。これが何球も続くと、投手は平常心ではいられなくなる。

 特に速球派の投手は、自分のイメージどおりの球を投げながら気持ちを乗せていく。ブルペンでも肩をつくるというよりはイメージトレーニング。だから捕手も頑張っていい音を出してくれる。暗示みたいなものだが、よし、行けると、自分で確認してからマウンドに向かう。
 でも、マリンだとそれが微妙に変わってくる。

 変化球投手にはいいと思うよ。びっくりするくらいの減速や変化をして打者を翻ろうできることもある。風をうまく使って好投している投手も多い。
 でも、速球派は違う。
 以前からロッテにいい真っすぐを持っている投手が入っても、いつの間にか変化球投手になるなと思っていた。
 たぶん、それは変化球のほうが有効な球場が本拠地というのもあると思う。

 そう考えると佐々木がマリンで1年目から平常心で投げるのは簡単じゃない。
 だからと言って敵地のドームをメーンというのも違う。あくまで佐々木という投手は、マリンの満員の観客の前で投げ、勝つことを目標にしていると思うしね。

 だったら佐々木が、じゃなく、球場が風対策をしてほしい。俺は建築の専門家じゃないから分からないけど、あの外野の6つの穴を開閉式にすればいいんじゃないかな。壁の強度のためか気流の関係かは知らないけど、特にレフト側は、あの穴から、かなり強い風が吹き込んでくる。
 佐々木のこれからを考えたら1億や2億をかけて風対策をしても、絶対、もとは取れると思うよ。
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