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後世に語り継がれるであろう現役日本人選手の魔球

 

 平松政次シュートや潮崎哲也のシンカー、佐々木主浩のフォークなど、往年の名投手は強力な変化球を持っていた。これらは今後も語り継がれるであろう「魔球」だが、現役選手の中にも、後世に語り継がれる素晴らしい変化球を投じる選手がいる。今回は、こうした「現役日本人選手の魔球」を紹介する。

ぜひとも球場で見ておくべき現代の魔球



●打者の目の前で消える 
千賀滉大のフォーク

 現役選手の中で、特に「素晴らしい」と評価されているのがソフトバンク・千賀滉大のフォークボールだ。非常に落差が大きく、バッターの目の前で消えるように変化することから「お化けフォーク」と呼ばれているほど。150キロを超えるストレートとのコンビネーションは絶妙で攻略が難しく、多くの強打者が手玉に取られている。これまでにも鋭く落ちるフォークを投じる選手がいたが、その中でも屈指の魔球だといえるだろう。


●絶妙な変化で打者を狂わす 
山本由伸のカットボール

 西武山川穂高など、パ・リーグの強打者たちがこぞって厄介なボールに挙げるのがオリックス・山本由伸のカットボールだ。プロ1年目の2017年オフに、打たせてアウトを取ることを目的にカットボールを習得。以降も精度を磨き続けた結果、リーグ屈指の強打者も手に負えない魔球に成長した。鋭くバッターの手元で変化するため狙いがつけにくく、プレミア12でも海外の打者に対してパーフェクトピッチングを披露。世界でも通用するボールであることを証明した。


●本人も変化が読めない魔球
山崎康晃のツーシーム

 ツーシームといえば、黒田博樹のように打者の手元で微妙に変化してバットの芯を外すというイメージがある。しかし、山崎康晃のツーシームはフォークのように鋭く落ちるまったくの別物。さらにこのボールは、時にスライダーのように、時にシンカーのように左右に変化しながら落ちるという特徴があり、どのように変化するのかは山崎自身も把握していないというなんとも恐ろしい魔球だ。山崎はこの魔球を武器に5年間で163セーブを記録した。


●奪三振王を支える伝家の宝刀 
則本昂大のスライダー

 2014年から2018年まで、5年連続でリーグ最多奪三振のタイトルを獲得した楽天の則本昂大を支えるのが、鋭く変化するスライダーだ。変化する幅が大きく、分かっていても振れない、振っても当たらないというまさに伝家の宝刀。これに150キロを超えるストレートとカットボール、フォークが組み合わされば、対応するのはそう簡単ではない。2019年は肩の手術の影響もあり難しいシーズンとなったが、今シーズンは再び奪三振王になる活躍を見せてくれるはずだ。


●打者の予想を超える急激な変化 
菅野智之のスライダー

 巨人の菅野智之のスライダーも、独特の軌道で変化する「魔球」と呼べるボールだ。人さし指、中指を縫い目にしっかりと掛ける握りで放たれるボールは、滑らかに変化するのではなく、打者にある程度近づいた段階で急激に大きく曲がるのが特徴。打者の判断を狂わせるため、ストライクゾーンを大きく外れていても振ってしまうのだ。菅野自身のコントロールの良さもスライダーの威力を高めている要因だ。

 後世に魔球として語り継がれるであろう現役選手の変化球をピックアップしてみた。いずれもNPBを代表する強打者たちを手玉に取り続けているものばかり。今シーズンもこれらの「魔球」を武器に、多くの空振りや凡打の山を築いてくれることだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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