先発ローテーション入りへ、また一歩近づいたのではないか。
2月19日、中日との練習試合(那覇)に先発した戸郷翔征が、3回1安打無失点。1次キャンプ地・宮崎での紅白戦2戦でも好投を見せていたが、この日もフォーク、スライダー、ストレートと、それぞれ異なる決め球で3つの三振を奪うなど、今季初の対外試合登板で結果を残した。
「(山口)俊さんの穴は僕が埋めるつもりで頑張りたい」と語る20歳右腕の投球に、
原辰徳監督も「いい階段をのぼっていると思います」と評価。
宮本和知投手チーフコーチも「ローテを片手はつかんでいるでしょう。3番手ぐらいにはつけるんじゃないですか」と今後もアピールの継続を期待した。
先発ローテーションはエース・
菅野智之、新外国人のA.
サンチェスが大きな柱も、3番手以降は昨季8勝の
桜井俊貴、2年目左腕・
高橋優貴、先発復帰も視野に入れる
田口麗斗、移籍2年目の
古川侑利、
今村信貴らが残り4枠を争う混戦模様。もちろん、戸郷もその中の1人で、高卒2年目とはいえ、明確なターゲットをつかむために結果を求める日々だ。
ただ、そんな戸郷がこの試合、内容を度外視して力勝負を挑む場面があった。2回、二死一塁から同学年の
根尾昂を打席に迎えた場面だ。
聖心ウルスラ学園高3年夏、宮崎県選抜の一員として、高校日本代表と対戦。この試合では、甲子園で春夏連覇を果たし、ジャパンでも中心選手だった根尾から2つの空振り三振を奪っているが、このとき以来の対戦に「めちゃめちゃ意識しました。真っすぐで三振が取りたかった」とオールストレート勝負を挑む。最後の4球目はフォークボールのサインに首を振り、149キロの渾身のストレートで空振り三振と、力でねじ伏せた。「自分たちの世代を代表する選手」と認める相手に「負けたくない」とする、その意気やよし。
試合後は冷静さを取り戻し「(手応えを感じた球種)はあまり見つかりませんでした。指にかかる感覚も良くないので、もっと良くしていかないと」と自らに辛口採点。登板後にはブルペンで修正を施すなど、開幕先発ローテ入りへ、妥協を許さない。
文=坂本 匠 写真=小山真司