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「30本以上放った生え抜き和製大砲」が最も長く出ていないのはどこ?

 

「生え抜きの和製大砲が出てこないチーム」に挙げられるのが阪神。FAで加入した選手や助っ人外国人は好調だが、生え抜きの長距離砲がなかなか出てこない。昨シーズンも、開幕から大山悠輔が四番を任されたが、シーズン14本塁打と長距離砲としては物足りない成績に終わった。では、「30本以上放った生え抜き和製大砲」が最も長く出ていないチームは、やはり阪神なのだろうか?

阪神だけでなくあの球団も……


阪神・掛布雅之


 12球団の生え抜き選手が「シーズン30本塁打を放った最後の年」を以下にまとめてみた。

●セ・リーグ
巨人 2019年=坂本勇人(40本)、岡本和真(31本)
ヤクルト 2019年=村上宗隆(36本)、山田哲人(35本)
DeNA 2018年=筒香嘉智(38本)
広島 2018年=丸佳浩(39本)、鈴木誠也(30本)
中日 2006年=福留孝介(31本)
・阪神 1985年=掛布雅之(40本)、岡田彰布(35本)

●パ・リーグ
西武 2019年=山川穂高(43本)、中村剛也(30本)
ソフトバンク 2019年=松田宣浩(30本)
オリックス 2017年=T-岡田(31本)
日本ハム 2015年=中田翔(30本)
ロッテ 1986年=落合博満(50本)
楽天 創設(2005年)以来30本塁打達成者なし

 最も長い期間、生え抜き選手が30本塁打を記録していないのは、やはり阪神だった。1985年に掛布雅之が40本、岡田彰布が35本を打って以降、35年間生え抜き選手が30本塁打に到達していない。

 1985年といえば伝説のバックスクリーン3連発(正確には掛布雅之の打球はバックスクリーン横の観客席に飛び込んでいる)が生まれ、ランディ・バースが打撃タイトル五冠に輝き、チームも2リーグ制になってから初の日本一になった栄光の年。そこから生え抜き選手が一度もシーズン30本塁打に達していないのだ。2005年に今岡誠(現:今岡真訪)が29本塁打を打っているが、大山には今岡を超え、30本塁打以上の成績を期待したいところだ。

 さて、そんな阪神を笑えないのがロッテ。30本塁打に到達した生え抜き選手は、1986年の落合博満が三冠王になって以降出ておらず、未到達期間は阪神に次ぐ34年間だ。落合以後の最高記録は、初芝清が1995年、1998年に記録した25本。阪神もそうだが、ロッテも長距離砲は助っ人頼みなのだ。

 2005年に設立された楽天は、まだシーズン30本塁打を放った生え抜き選手は出ていない。これまでの生え抜き選手の最多本塁打数は、田中和基が2018年に記録した18本。球団初の和製大砲の登場が待ち望まれる。

生え抜きの最多本塁打獲得者は?


巨人・松井秀喜


 次に、「最多本塁打のタイトルを最後に獲得した生え抜き選手」を、球団ごとに調べてみた。

●セ・リーグ
・DeNA 2016年=筒香嘉智(44本)
・ヤクルト 2015年=山田哲人(38本)
・広島 2005年=新井貴浩(43本)
・巨人 2002年=松井秀喜(50本)
・中日 1996年=山崎武司(39本)
・阪神 1984年=掛布雅之(37本)

●パ・リーグ
・西武 2019年=山川穂高(43本)
・オリックス 2010年=T-岡田(33本)
・日本ハム 2006年=小笠原道大(32本)
・ソフトバンク 2005年=松中信彦(46本)
・ロッテ 1986年=落合博満(50本)
・楽天 創設以来獲得者なし

 生え抜き選手が最多本塁打のタイトルから最も遠ざかっているのも阪神。1984年に掛布雅之が獲得して以降は、生え抜き選手はおろか、ほかのチームから移籍してきた日本人選手も獲得できていない。外国人助っ人も1986年のバース以降、誰も最多本塁打のタイトルを獲得していないのだ。ロッテの生え抜き選手も落合以降は最多本塁打のタイトルに縁がない。移籍してきた選手も助っ人外国人も獲得できていない。この2球団はかなり深刻な状況だといえる。

 強打のチームという印象がある巨人とソフトバンクが、10年以上も遠ざかっているのは意外なところ。巨人は2002年に松井秀喜が獲得して以降は、生え抜き選手は誰も獲得できていない。昨年好調だった坂本勇人や岡本和真が今シーズン久しぶりにタイトルに輝くか期待したいところだ。また、ソフトバンクも2005年の松中信彦以降は出ていない。近年は外国人助っ人頼みという印象が強いので、まだしばらくは出ない可能性が高い。

 果たして今シーズンは何人の生え抜き選手が30本塁打に到達するのか。さらにその中から最多本塁打のタイトルを獲得する選手は現れるのか。生え抜き選手の奮起に期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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