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三木監督が目指す野球を体現している楽天の新人・小深田大翔

 


 オープン戦で3連敗スタートと、いまだ勝利がない楽天。投手、野手ともに新戦力を多く起用し、開幕に向けてメンバーを模索しているとはいえ、本来目指すべき形には至っていない。投手陣の仕上がりが遅いことも影響しているが、3試合で21失点。さらにわずか9得点で本塁打0にとどまっている攻撃陣にもまだ課題は残っていそうだ。

 三木肇監督が目指す足を生かした攻撃を体現すべく、一番と九番には俊足を武器とする選手を積極的に起用している。一番にはドライチの小深田大翔(2試合)と山崎幹史(1試合)、九番には辰己涼介(2試合)とオコエ瑠偉(1試合)がスタメンに入った。小深田は4安打、1打点と奮闘中だが、山崎と辰己、オコエはともに1安打と振るわない。ただ、それ以上にチーム盗塁数が小深田のわずか1盗塁であり、盗塁刺だけではなく、走塁ミスなども目立っていることは大きな課題といえる。

「予測と準備をして瞬時にプレーの選択、判断ができる状況判断力を養い、いろいろな戦い方ができる強いチームに成長させたい」と語っていた三木監督が目指すチーム作りにはもう少し時間がかかりそうだ。開幕まで1カ月を切っている状況でどこまで近づけることができるのか、その手腕にも注目したい。

 だが、収穫は3試合でマークした21四死球だろう。相手投手の状態も影響しているとはいえ、四球からチャンスメークしていく攻撃も三木監督が目指す部分。四球、盗塁で得点圏にランナーを進める攻撃こそまだ完成されてはいないが、四球への意識が高まっていることは確かだ。

 小深田は先述したように打率.444の打撃に加え、チーム唯一の盗塁、さらに2四球を選ぶなどルーキーらしからぬ活躍を見せ、三木監督が目指す野球を最も体現している選手と言える。開幕一軍も見えてきているが、内野には正ポジションの遊撃に茂木栄五郎、二塁に浅村栄斗、三塁に鈴木大地と実績ある選手がひしめいている。いまだ見えてこないスターティングメンバーと戦術。残りの期間でどこまで固めることができるのか、今後のオープン戦からも目が離せなくなりそうだ。だがまずはどういった形で勝利するのか。その戦い方、勝ち方に注目していきたい。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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