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ベースボールゼミナール

バスターをうまくするには?【前編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.高校1年生です。ランナー一塁のときにサインで送りバントの構えをすると、極端なバントシフトを敷いてきて、一、三塁手が猛ダッシュを仕掛けてくるチームがあります。このようなときにバットを引いて、打ってやろうと思うのですが、バスターがうまくありません。どのような点に注意すればいいのですか。コツを教えてください。(静岡県・16歳)


2018年5月3日巨人戦(マツダ広島)の8回、意表を突くバスターで勝ち超しを呼び込んだ広島・菊池涼介


 このようなケースでバスターを成功させる1つのコツとしては、質問の方のように「打ってやろう」とは思わないことです。守備側の選手の動きが見えていて、そこを抜いてやろう、ヒットにしてやろうと考えると、どうしても力みにつながってしまいます。また、「打とう」と考えると、バントの構えからバットを引いて、トップをしっかりと作って打ち出そうとするので、振り遅れにもつながります。つまり、バントシフトを逆手にとってバスターを仕掛ける場合、いつもと同じように打とうと思わない、しないことが肝心です。

 まず、バントの構えから、バットを引く際には、トップの位置は浅めにとどめておきましょう。そして、質問の方の目にはチャージを仕掛けてくる一、三塁手の姿が見えているわけですから、例えばダッシュしてくる一塁手の方向に、投球に合わせてバットをポンと出すだけでOKです。イメージとしては、練習の際にキャッチボールの後に行うことが多い、ペッパー(※ボールを投げるパートナーに向かって打ち返す、バットコントロールの練習のことです)の要領でしょうか。この場合は一塁手に捕らせる感覚で十分です。ここで少しでも早い打球を打とうと考えて強振すると、ファウルになってしまったり、空振りの可能性が増してしまいます。

 一度、バスターを仕掛けて失敗すると、相手の守備も警戒し、チャージを緩めるかもしれません(バッター自身のカウントを悪くすることにもつながります)。ですから、投球をミートして、一塁手に打ち返してやる。相手は猛ダッシュで突っ込んでくるわけですから、打球が速くなくても、それなりの打球であれば、そう簡単に処理できるものでもありません。恐怖で避ける選手もいるかもしれませんよ。

 ポイントをまとめると、「打ってやろう」ではなく、「ペッパーのつもりで軽く打ち返してやる」くらいの気持ちを持って、トップを浅くし、なるべき引き付けて(早く引き過ぎるとチャージをやめて止まってしまうからです。)、チャージをかけてくる守備側の選手の方向にポンとバットを出してやる。質問の方は「バスターが苦手」と書いていますが、こう考えると簡単にできそうな気がしませんか?

<「後編」に続く>

写真=BBM

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2020年1月27日号(1月15日発売)より
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