週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

オープン戦の首位打者はシーズンでも好結果を残せるのか?

 

 2月16日からオープン戦が始まった。まだ序盤ではあるが、各チームの主力の多くは順調な仕上がりを見せており、ここにニューカマーがどう割って入るかが楽しみなところ。できれば首位打者を獲得するような期待の新人が出てくるとレギュラー争いも激化して面白い。では、オープン戦で首位打者になるほど好調だった選手は、レギュラーシーズンでも好結果を残せるのだろうか?
※記事内の所属チームは当時のもの

オープン戦首位打者で打撃タイトルを獲得したのはわずか3人……



 今回は、楽天が参入して現在のチーム体制となった2005年から2019年までを対象に、オープン戦で首位打者になった17人のレギュラーシーズンの成績を調べてみた。

 その結果、レギュラーシーズンでも「首位打者」のタイトルを獲得したのは、2007年のヤクルト青木宣親のみ。また、首位打者ではなく打撃タイトルすべてまで広げてみても、タイトルを獲得したのは青木と2005年の阪神・赤星憲広(最多盗塁)、2015年の西武秋山翔吾(最多安打)の3人だけだった。

・赤星憲広(2005年)
145試合 190安打 1本塁打 38打点 60盗塁 打率.316→最多盗塁

・青木宣親(2007年)
146試合 192安打 13本塁打 62打点 41盗塁 打率.321→首位打者・最高出塁率

・秋山翔吾(2015年)
143試合 216安打 14本塁打 55打点 17盗塁 打率.359→最多安打

 2015年にオープン戦首位打者となった西武・秋山翔吾は、レギュラーシーズンで打率.359という、普通の年なら首位打者間違いなしの成績を残したが、ソフトバンク柳田悠岐がこれを上回る打率.363を記録。首位打者になれなかった。オープン戦とレギュラーシーズンの両方で首位打者を獲得するのはそれだけ難しいのだ。

タイトル争いに絡んだのは何人?


DeNA・シリアコ


 では、打撃タイトルを獲得できずとも、タイトル争いに最後まで絡んだ選手は何人いるのだろうか。同じく過去成績を調べたところ、なんと該当選手は0人。そもそも、前述のタイトル獲得選手を除くと、3割に到達したのは2006年の西武・中島裕之(現:巨人・中島宏之)と2008年の日本ハム稲葉篤紀の2人しかいない。

 さらに、レギュラーシーズンで100試合以上出場した選手も、青木、赤星、秋山、中島、稲葉の5人と、2006年の巨人・二岡智宏、2009年の西武・栗山巧、2011年の西武・浅村栄斗、2016年のロッテ鈴木大地の計9人。残りの8人は、オープン戦で首位打者になるほど好調だったにもかかわらず、厳しいシーズンを送っている。

 例えば、2010年の西武・G.G.佐藤や、2012年の広島松山竜平、2013年のヤクルト・畠山和洋は、オープン戦では絶好調だったものの、いざ開幕すると途端に打てなくなり、二軍に落ちている。ほかの選手も、オープン戦の結果を受けて開幕一軍を迎えたものの、定着できずに二軍行きになっている。

 特にひどかったのは2017年にオープン戦首位打者になったDeNAのアウディ・シリアコだ。レギュラーシーズンではまったく打てなくなり、シーズン途中で夫人の出産に立ち会うために帰国。そのままシーズンを終え、出場はわずか12試合、打率.074とさんざんな成績だった。

 2005年以降、オープン戦首位打者で、レギュラーシーズンでも首位打者のタイトルを獲得したのはわずか1人。打撃タイトルを獲得した選手も全部で3人と、「オープン戦首位打者=シーズンでも大活躍」とはいかないようだ。ただ、浅村や秋山など、その年ブレークを果たす選手がいるのも確か。今年のオープン戦で首位打者はどの選手か、またその選手がどのようなシーズンを送るのかに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング