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巨人・モタ大人気で、再注目された「巨人史上最強助っ人」とは

 


 無名の存在が、今年に入って一気に知名度を上げた。巨人のイスラエル・モタだ。片言の日本語と明るいキャラクターで人気急上昇。現在、オープン戦では8打席連続三振と苦戦中だが、春季キャンプでは実戦11試合で打率.341、1本塁打、9打点でキャンプMVPに選ばれた。2月28日に支配下登録を勝ち取って会見を開いた際はドミニカ共和国の両親からのビデオメッセージが流れ、「ヤバい」と号泣。この姿に多くの野球ファンが心を打たれた。

 ネット上では、「モタは喜怒哀楽を前面に出して巨人にいないタイプの選手。クロマティみたいな選手になってほしい」という書き込みが多い。一方で、若い世代の野球ファンからは「クロマティってすごかったの?」という声も。テレビ番組『珍プレー好プレー』の常連だったため、風船ガムを常にふくらませているひょうきんな表情やファンと「バンザイ三唱」している姿が印象に残っているかもいるかもしれない。

 ムードメーカーの印象が強いクロマティだが、「巨人史上最強の助っ人」と呼ばれるほどの選手だった。日本で7年間プレーして通算打率.321、171本塁打、558打点。89年には「4割を打って引退する」と宣言し、開幕から96試合目まで打率4割をキープするプロ野球最長記録を樹立した。目標の4割は叶わなかったが、打率.378は球団史上最高打率だ。

 クロマティの特筆すべき打撃技術はミート能力の高さだった。緩急や縦の変化に崩されることなく、どのコースに対しても広角にヒットを打ち返す。89年は124試合に出場して三振数はわずか44。当てるのがうまいだけでなく、長打力も兼ね備えていた。来日1年目の84年から3年連続30本塁打以上をマーク。86年は打率.363、37本塁打、98打点と立派な数字を残した。この年は阪神ランディ・バースが打率.389、47本塁打、109打点と驚異的な数字で2年連続三冠王に輝いたため、無冠に終わったが間違いなく球史に残る強打者だった。

 クロマティは昨年8月からは巨人の一軍に「ゲスト」という形で帯同。試合前の練習では選手に打撃指導を行うなど精力的に動いていた。今季から「アドバイザー」という肩書で正式に契約を結んだ。異国の地で成功した大先輩・クロマティは、日本のプロ野球で活躍を目指すモタにとって心強い存在になるだろう。

写真=BBM
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