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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

FA移籍1年目で開幕投手を務めるロッテ・美馬学の“ギャップ”

 

いきなり開幕投手の大役を託された美馬


「彼らしい向かっていくような投球をしてほしい」。開幕投手にFA移籍1年目の美馬学を指名したロッテ井口資仁監督は、そう理由を説明した。

 打者に向かっていく気迫みなぎる投手――。指揮官はそれこそがチームの投手陣に欠けているものだと感じ、FA宣言した美馬の獲得を熱望していた。石川歩という軸はいるが、二木康太種市篤暉岩下大輝など若手の台頭が著しい先発陣を、背中で引っ張ることができるリーダー格が欲しい。美馬は打ってつけの存在だった。

 だが、ひとたびマウンドを降りると、素顔の美馬は穏やかそのものだ。開幕投手を託されたことについては「びっくりたした。新しいチームに入っての自分の開幕でもある。チームとしても自分としてもいいスタートが切れるように」と決意をのぞかせたが、新天地で迎える新シーズンに向けては「あまり“意気込む”というのは得意じゃないので。普通にプロ10年目のシーズン。自然体で入れたらいいのかな」と笑う。

「連打を食らったり、ピンチになると熱くなりやすい。一呼吸おいて、冷静に投げなければとは思っています」とマウンドで見せる気迫の一端を語ってはくれたが、柔らかな笑顔は変わらぬままだった。そんなマウンド上とのギャップこそが、美馬の自然体なのだろう。

 敵地で迎える開幕戦の相手はソフトバンク。「新しいチームになれば、また違う」と素っ気ないが、昨季は7試合に投げて3勝1敗、防御率1.97、通算でも自身の防御率3.82に対して3.01と抜群の相性であることに変わりはない。加えて、チームとしても昨年は17勝8敗とソフトバンク相手に無類の強さを誇っていた。

 新天地で迎える自身の初先発でも気負わず、自然体でマウンドに上がるのだろう。そして、マウンドに上がった瞬間から気迫をみなぎらせるのだろう。新たなスタートを切る10年目右腕の初登板から目が離せない。

文=杉浦多夢 写真=佐藤真一
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