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Daiki’sウォッチ

ソフトバンクに漂う“日本一の空気感”をロッテに注入する福田秀平/Daiki’sウォッチ

 

“あそこのロッカールーム”



 キャンプが終わり、オープン戦が本格化したプロ野球界。取材をしていて、ウエスタン・リーグに所属している若いコーチ陣が、こんな言葉をよく口にしていたのを思い出した。

「あそこのロッカールームは腐っているヤツがほとんどいない。みんな、いい意味でギラギラしている。一軍に行ってもそう。ロッカールームの雰囲気を見れば、なぜチームが強いか、なぜ良い選手が続々と出てくるかよく分かる。大事な空間なんだよね、チームのロッカールームは。あの場所の空気感を見れば日本一3連覇は納得できる」

“あそこのロッカールーム”とは昨季、日本プロ野球界で3年連続日本一を達成した福岡ソフトバンクホークスのロッカールームのことである。

 千賀滉大甲斐拓也をはじめ、牧原大成や昨年、ブレークした周東佑京ら続々と育成選手らが一軍で活躍する土壌を持つホークス。二軍であろうが、育成選手であろうが、「自分もチャンスを得ればあのステージに行ける」――そんな思いがホークスの二軍施設である筑後には漂っているという。

 そして、一軍が使用するPayPayドーム内のロッカールームでも主力選手たちがこう話している。

「とにかくチームが勝つためのこと、自分たちのパフォーマンスが上がるためのこと、野球に関する会話や言葉が飛び交うのがホークスのロッカールーム。野球以外の話を大きな声で話すのは難しい雰囲気。日本一へ向かうチーム。ロッカールームも日本一のロッカールームに作り上げないといけない」

 勝てる理由は必ずある。巨大戦力だからというだけではない。ホークスの空気感について松田宣浩もこう話す。

「キャッチボールから常にどこか緊張感がある。競争であり、日本一を目指す一体感が必要とされるチーム。間違いなくホークスのロッカールームやシートノック、投内連係は日本一の緊張感がある。とにかくスキを作らないチームでいなければいけないという空気感が入団時から漂っている」

「本当に勉強になります」


 ホークスの空気感の中で13年間プレーしてきた福田秀平も昨オフ、FA移籍したロッテのロッカールームでの立ち居振る舞いでチームに大きな影響を与えている。

 福田秀平の姿をロッテの若手選手たちはこう話す。

「本気で優勝を目指すチームはロッカーでも本気である。ロッカーでの準備する姿、練習前のコーチとのやり取りや時間の使い方を見ていても、本当に勉強になります」

 日本一のチームにいたからこそ気付くことがある。姿で伝えられることがある。

「出場機会が得られるためだけの移籍ではない。自分が野球人として他チームでも認めてもらえるかどうかということも確認したい」

 FA宣言中に福田秀平が語ってくれた言葉を思い出した。

 今季、千葉ロッテマリーンズが上位に進出し、日本一へ向かう集団となっていたら、そこにはホークスで培った福田のロッカーでの振る舞い、試合前の姿が大きく影響しているかもしれない。

 観客のいないオープン戦を取材して強く感じたダイヤモンド外での空気感。グランドだけでチーム力は決まらない。球場内でのロッカーでの行いも成績に大きく影響する。そう教えてくれたホークスの面々とロッテ福田秀平。

 いまかいまかと待たれるプロ野球開幕。とても楽しみになってきた。

文=田中大貴 写真=BBM
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