新型コロナウイルスの影響で3月20日を予定していたシーズン開幕が延期されることとなった。先発投手、レギュラー選手はほぼ固まりつつあったが、開幕が延びたことを考えると当落線上にいた選手たちにとっては、アピールするチャンスが増えたとも言えそうだ。
今季の楽天は内外野ともに激しいポジション争いが繰り広げられている。そこで若手選手たちはあらゆるポジションに挑戦し出場機会を求めた。その中で顕著な活躍を見せているのが3年目の山崎幹史で、内野に加え外野にも挑戦し、一軍定着に向け闘志を燃やしている。山崎の本職は遊撃、二塁だが、そこには
茂木栄五郎や
浅村栄斗、守備の名手・
藤田一也と実力、実績ともに十分な選手がいる。さらに三塁も守れる
鈴木大地の加入により“内野の”ユーティリティーというだけでは一軍定着は厳しい状況となってきた。
外野もレギュラーがほぼ確実な
島内宏明に加え、
ジャバリ・ブラッシュと
ステフェン・ロメロの助っ人争い、
田中和基、
辰己涼介、
オコエ瑠偉と高い守備力を誇る3人が競い合っており、簡単にレギュラー奪取とはいかない状況だ。だが内外野を守れるユーティリティーさに加え、俊足と打撃で結果を残すことができれば、代打や守備固めからでも十分に一軍定着は狙える。そこに活路を見出した。
昨季は二軍で70試合に出場し打率.251、40四球、22盗塁など渋い働きを見せている山崎。当時二軍監督だった
三木肇監督からボールの見極めや打席でのアプローチなどを叩き込まれた。するとオープン戦では10試合で打率.318、得点圏打率.571で四球はチームトップの7とその成果が表れている。3年目の飛躍を目指し、開幕一軍入りは勝ち取りたいところだ。開幕日はまだ発表されていないが、残された時間でさらなるアピールを続けていく。
オープン戦の無観客試合や開幕延期で野球ファンは楽しみが減ってきているところだが、予想とはまた違った開幕メンバーとなることも考えられる。開幕までの選手たちのアピール合戦に注目しながら開幕を待ちたいところだ。
文=阿部ちはる 写真=BBM