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体調不良で球場に行かない勇気

 

毎試合5万人近くの観客を集める東京ドーム。写真は昨年のクライマックスシリーズ、阪神応援席


 NPBとJリーグの「新型コロナウイルス対策連絡会議」が3月12日に行われた。試合開催に関する感染リスクについて話し合われ、多くの規制が提言として出された。

 この提言の「基本方針」には「観客も観戦にあたっては発熱・咳・倦怠感などの症状を認めた場合にはスタジアムに行かないという文化を醸成することです」とあった。たしかに納得できるし、体調不良の人間が行かないという選択をすることが、球場での感染拡大防止には不可欠だろう。ただ、体調不良を理由にしたチケットの払い戻しは、基本的には行われていないことが気になった。

 払い戻しがないのであれば、「もったいない」と思ってしまう人もいるだろう。遠方から訪れる人もいるはずだ。飛行機やホテルを予約し、何日も前から観戦するのを楽しみにしていたことだろう。「行かない」という選択は、せっかく買ったチケットや、予約や、楽しみにしていた気持ちを捨てることになる。ファンからしたら、悔しくてたまらないと思う。

 行かない選択を求めるのであれば、主催側には体調不良によるチケットの払い戻しを認めてほしい。確かに、自己都合の払い戻しを認めてしまえば、転売や、チケットを買い占めて直前にリリースする迷惑行為が起きるなど、問題は山ほど出てくる。しかし、球場での感染を食いとめるためには、お互いに勇気を持つことが必要なのではないか。球場に行かない勇気、払い戻しを認める勇気。チームとファンが一体になって、安全なスポーツ観戦の場を作れるようにしてほしい。

文=依田真衣子 写真=BBM
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