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プロ3年目以降での新人王獲得は何人?

 

 2019年の最優秀新人、いわゆる新人王には、セ・リーグが2年目のヤクルト村上宗隆、パ・リーグも同じく2年目のソフトバンク高橋礼が選ばれた。新人王は普通1年目や2年目のルーキーから選ばれるが、では入団3年目以降で新人王になった選手は過去に何人いるのかご存じだろうか?

中にはプロ入り4年目で獲得した選手も



 新人王の受賞資格は以下の4つの条件をすべて満たすことだ。

・支配下登録から5年以内
・海外のプロ野球リーグに参加した経験がない
・前年までの一軍での登板イニング数が30イニング以内
・前年までの一軍での打席数が60打席以内

 育成選手契約から支配下登録に昇格するという例外はあるものの、基本的には入団から5年目以内の選手が受賞することになる。では、1〜5年目までの受賞人数はどうなっているのだろうか? 各年の受賞人数を調べてみた。

 最優秀新人のタイトルがスタートした1950年から2019年までの70年間で受賞した選手は全部で130人いる。このうち104人がプロ入り1年目で新人王になった選手だ。過去の新人王の80パーセントが1年目で獲得していることになる。

 2年目での受賞はそこからグッと減って17人。2019年はセ・パともに2年目の選手が新人王になったが、2年目での受賞もそこまで多くないのだ。そもそも、セ・パともに2年目の選手が受賞したのも初めてのケースだった(セ・パともに「2年目以上」ということであれば2例目)。

 3年目での受賞者はさらに減って6人、4年目となるとわずか2人しかいない。5年目に至っては0だった。

 3年目、4年目での受賞者は以下のとおり。

●プロ入り3年目での受賞者
1964年受賞 高橋重行(大洋)38試合、17勝11敗、防御率2.76
1976年受賞 藤田学(南海)27試合、11勝3敗、防御率1.98
1996年受賞 金子誠日本ハム)117試合、395打数103安打、4本塁打、33打点、15盗塁、打率.261
2002年受賞 正田樹(日本ハム)23試合、9勝11敗、防御率3.45
2009年受賞 松本哲也(巨人)129試合、372打数109安打、0本塁打、15打点、16盗塁、打率.293
2016年受賞 高梨裕稔(日本ハム)37試合、10勝2敗、1ホールド、3HP、防御率2.38

●プロ入り4年目での受賞者
1971年受賞 関本四十四(巨人)35試合、10勝11敗、防御率2.14
1998年受賞 小関竜也西武)104試合、322打数91安打、3本塁打、24打点、15盗塁、打率.283

3年目以降は受賞資格を満たすのが難しくなる


 では、なぜ3年目以降になるとこれほど受賞人数が少なくなってしまうのだろうか? 打者ならだいたい20試合に出場すれば60打席に到達するため、コンスタントに出場すればすぐに条件を満たしてしまう。期待の選手ほど出場機会が与えられやすいため、もし条件を満たした年に活躍できなければ、2度と受賞機会は得られない。

 一方で、新人が条件を満たさずに何年も支配下登録にとどまるのも難しい。チームとしては成績が上がらない選手をずっと支配下に置くわけにはいかないため、比較的長い目で見られる高卒選手であっても、何年も結果が出せないと自由契約になったり、育成選手として再契約したりする可能性が出てくる。こうした理由から3年目以降での受賞は難しくなるのだ。

今年の飛躍を期待したいプロ3年目選手



 今シーズンで入団3年目を迎えた選手のうち、新人王の獲得が期待できるのはまずロッテの安田尚憲だ。1年目の一軍出場は17試合、2年目は一軍での出場はなかったが、二軍では二冠(本塁打、打点)を獲得。じっくりと育成するチーム方針が功を奏し、年々実力をつけてきている。

 投手では、DeNA中川虎大が今季のブレークが期待できる選手だ。育成選手として入団したが、2019年に二軍で好投を続けたことで支配下に昇格。最終的にイースタン・リーグトップの11勝を上げた。春キャンプは二軍スタートとなったが、長身から繰り出されるストレートは一軍でも通用するはず。ロッテの安田とともに、ヤクルトの村上やソフトバンクの高橋といった新人王を受賞したドラフト同期に負けない活躍を期待したい。

 また、入団4年目では、2017年に1位で入団したソフトバンク・田中正義もまだ新人王の受賞資格を残している。プロ注目の逸材と称された投手だが、3年間思うような投球ができずに苦しんでおり、今季も右ヒジの張りを訴え早々に離脱。同じく2017年のドラ1選手のヤクルト・寺島成輝も新人王の受賞資格を残しているが、春キャンプでは二軍で再調整となった。両者ともに苦しい時期が続くが、今季は巻き返しを図りたいところだ。

 プロ3年目以降での新人王獲得者は130人中わずか9人。全体の約6.9パーセントと、かなり少ない。今シーズンはロッテの佐々木朗希など期待の1年目や、中日根尾昂をはじめとする2年目の候補が多く、新人王争いは激戦が予想される。その中で、10人目、または11人目の「3年目以降での受賞者」が誕生するのか注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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