一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 働くほど赤字?
今回は『1971年1月4・11日号』。定価は100円。
新年号で豪華対談などが目白押しだが、ここで扱いたいピリッとした(?)ネタがあまりなかった。
今回は、少しほのぼのした小ネタを紹介しておく。短めで失礼。
黒い交際でたたかれまくった
阪神・
江夏豊が、オフに社会勉強のため10日間、阪神百貨店でアルバイトをした。
感想を聞かれた江夏は「女店員にこんなことで怒られた」と笑っていた。
「2号室ね。デパートで2号室と言ったらトイレのこと。僕、女店員に便所へ行ってくると言ったら叱られた。2号室に行ってくるといいなさいって」
また、
「びっくりしたのが女性上位の時代。僕が品物を包装するのに
モタモタしていたら、はやいことしなきゃあかん、とハッパをかけられたよ。
でも、銭、金にかかわらんくらいいい経験をしたよ。来年もやれと言われたら、もうようやらん。思っていたより、しんどかった」
とも話していた。
勤務態度はなかなかよく、売り上げにも大いに貢献したという江夏に支払われた給料は1万2500円。江夏はそれをもらうと封も切らぬまま球団事務所に持って行き、恵まれない子どもたちのための施設に寄付してもらった。
ただ、驚いたのは出勤の仕方。「朝が弱くて」という江夏はタクシーで出勤していたらしい。10日間で、その出費が食事代を含め、3万5000円だったという。
全額給料をもらったとしても2万円以上の赤字になる。
では、また月曜日に。
う、定価が100円になっていた。
<次回に続く>
写真=BBM