3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人は国産主義ではない?
今回は『1972年8月28日号』。定価は100円。
この年、第1回日米大学野球ワールド・シリーズが行われたが、その第2戦で2本塁打を放ったスイッチヒッター、スモーリー内野手を
巨人が狙っている、という記事があった。
父親が元メジャー・リーガー、伯父がエキスポズのモーク監督という選手だ。
巨人・
内堀保スカウト次長は、スモーリーの三塁守備を「神宮のスタンドで立教の
長嶋茂雄を見たときと同じ戦慄が走った」と絶賛し、「日米間の難しい問題さえなければぜひほしい」と話した。
要は長嶋のサードの後継者候補としてだ。
「長嶋の後釜をなんとか見つけないことには、あとに監督をやるものが可哀そうだ。おそらくそれは長嶋自身だろう。いますぐ引退というわけではないが、最近の長嶋を見てると、歳は隠せない。いまの戦力から長嶋を引いた残りの戦力というのは心細い。長嶋自身のためにも何とか後釜を用意してもらわんと気の毒になる」
と内堀次長。
アメリカのアマチュア選手獲得は、メジャーのドラフト指名がなければだが、特に問題ないのでは、と言われた。逆パターンではSFジャイアンツが、ドラフト指名のなかった大東文化大の鈴木弘(この年は
ロッテ)を獲得した例もある。
この話に対し、正力享オーナーはノーコメント。
川上哲治監督は「そんなものが実現するわけないじゃないか」と一笑。
ただ、巨人が「国産主義」で外国人補強をしないという見方については、戦前のリベラ、戦後の日系人獲得を例に挙げ、「そんな狭い考え方のチームではない。必要であれば外国人も獲る」と言っていた(一応、純血主義を国産主義、外人を外国人に書き直してみました)。
ではまた、月曜日に。
<次回に続く>
写真=BBM