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FA移籍を果たした現役選手の今は?

 

 2019年オフは美馬学楽天ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天)、福田秀平ソフトバンク→ロッテ)の3人がFA移籍を果たした。これでFA移籍を経験した現役選手は計20人となったが、果たしてこの3人以前にFA移籍をした選手たちはどのような成績を残しているのだろうか。あらためてFA選手の現状を調べてみた。

10年前にFA移籍をした選手もまだ現役


ソフトバンク・内川聖一


「FA移籍を経験し、現在もNPBに在籍している選手」と「移籍先での通算成績」を、FA移籍年が古い順に以下にまとめてみた。

●2010年FA移籍
・内川聖一(横浜→ソフトバンク)
FA移籍先での通算成績
試合:1076
打数:4142
安打:1226
本塁打:117
打点:602
通算打率:.293

細川亨西武→ソフトバンク)
FA移籍先での通算成績
試合:521
打数:1066
安打:196
本塁打:14
打点:106
通算打率:.180

 2010年オフに横浜からソフトバンクに移籍した内川は、チームの主軸として活躍し、開幕四番にも4度任されている。2017、2018年は思うような結果が残せなかったが、2019年は137試合に出場してゴールデン・グラブ賞に輝くなど復活を果たした。

 同じく2010年オフに西武からソフトバンクに加入した細川は、打撃では貢献できなかったものの、巧みなリードで投手陣を支え、正捕手として活躍。しかし、2015年に故障で離脱したことをきっかけに出場回数が激減し、2016年に自由契約となった。その後は楽天、ロッテと移り、現在もロッテに所属している。

ソフトバンク・中田賢一


●2013年FA移籍
・中田賢一(中日→ソフトバンク)
FA移籍先での通算成績
試合:108
勝利:39
敗北:26
HP :2
通算防御率:3.71

涌井秀章(西武→ロッテ)
FA移籍先での通算成績
試合:145
勝利:48
敗北:55
通算防御率3.80

大竹寛広島巨人
FA移籍先での通算成績
試合:97
勝利:27
敗北:21
ホールド:8
通算防御率:4.10

鶴岡慎也日本ハム→ソフトバンク)
FA移籍先での通算成績
試合:217
打数:415
安打:101
本塁打:9
打点:45
通算打率:.272

山崎勝己(ソフトバンク→オリックス
FA移籍先での通算成績
試合:304
打数:396
安打:66
本塁打:0
打点:25
通算打率:.130

 2013年オフのFA移籍組では、中日からソフトバンクに移籍した中田と、西武からロッテに移籍した涌井の投手2人が主力として活躍した。特に涌井は2015年には15勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得している。ともに少しずつ思うような成績を残せなくなり、2019年オフに中田は阪神、涌井は楽天に移籍。また、広島から巨人に移籍した大竹は、不調やケガの影響でシーズンを通して活躍できた年がなく、期待された成績を残せていない。

 日本ハムからソフトバンクに移籍した鶴岡は、確固たる捕手がいないチーム状況から重宝されたが、2017年に甲斐拓也が頭角を現すと出場回数が激減。その年に再度FA権を取得したため、古巣・日本ハムにFAで出戻りとなった。オリックスに移籍した山崎は控え捕手としてチームを支え、在籍7年目に突入。2019年は24試合の出場にとどまっており、今年は正念場だ。

楽天・岸孝之


●2016年FA移籍
FA移籍先での通算成績
・岸孝之(西武→楽天)
試合:64
勝利:22
敗北:19
ホールド:8
通算防御率:3.01

糸井嘉男(オリックス→阪神)
FA移籍先での通算成績
試合:336
打数:1228
安打:373
本塁打:38
打点:172
通算打率:.304

陽岱鋼(日本ハム→巨人)
FA移籍先での通算成績
試合:284
打数:791
安打:206
本塁打:23
打点:91
通算打率:.261

 2016年のFA移籍組では、阪神に移籍した糸井が特に活躍している。ケガに悩まされてシーズンフル出場は果たせていないが、それでも毎シーズン3割前後の成績を残し、守備でもチームに貢献している。糸井と同じく走攻守に優れた陽岱鋼は、巨人では思うようなプレーができず、なかなかレギュラーがつかめていない状況。2020年は巻き返しに期待したい。

 エース候補として西武から楽天に移籍した岸は、1年目は7連敗を喫するなど勝ち星に恵まれなかったが、加入2年目は、チームトップとなる11勝と活躍。しかし、2019年はケガや扁桃炎の影響で加入後ワーストの15試合3勝5敗と、なかなか期待されたような活躍ができていない。


●2017年FA移籍
FA移籍先での通算成績
・大和(阪神→DeNA)
試合:250
打数:832
安打:200
本塁打:2
打点:64
通算打率:.241

大野奨太(日本ハム→中日)
FA移籍先での通算成績
試合:97
打数:190
安打:36
本塁打:2
打点:13
通算打率:.184

・鶴岡慎也(ソフトバンク→日本ハム)※2度目のFA移籍
FA移籍先での通算成績
試合:136
打数:301
安打:69
本塁打:3
打点:26
通算打率:.210

増井浩俊(日本ハム→オリックス)
FA移籍先での通算成績
試合:116
勝利:3
敗北:9
セーブ:53
ホールド:23
HP:26
通算防御率:3.66


野上亮磨(西武→巨人)
FA移籍先での通算成績
試合:38
勝利:5
敗北:6
セーブ:1
ホールド:4
HP:5
通算防御率:4.15

 2017年移籍組の野手でレギュラークラスの活躍ができている選手といえば、阪神からDeNAに移籍した大和だ。特に2019年はキャリア最多の137試合に出場し、チームのCS進出に大きく貢献した。また、投手で活躍しているのが日本ハムからオリックスに移籍した増井だ。日本ハム時代に中継ぎ、抑えで活躍したが、オリックスでも1年目からリーグ2位の35セーブを記録。2年目は一時不調に陥ったが、最終的に18セーブ14ホールドとリリーフの要として活躍した。

 一方、難しいシーズンを送っているのが西武から巨人に移籍した野上だ。加入1年目は不調から二軍落ちし、その後一軍に昇格するも復調できないままシーズンを終えた。加入2年目となる2019年シーズンも不振から13試合の登板に終わり、シーズンオフにはアキレス腱を断裂。かなり難しい状況に陥っている。

 キャリア2度目のFA移籍を果たし、古巣に復帰した鶴岡は、復帰1年目は正捕手として101試合に出場。その年のオフにバッテリーコーチ兼任となった。


●2018年FA移籍
・炭谷銀仁朗(西武→巨人)
FA移籍先での通算成績
試合:58
打数:126
安打:33
本塁打:6
打点:26
通算打率:.262

浅村栄斗(西武→楽天)
FA移籍先での通算成績
試合:143
打数:635
安打:139
本塁打:33
打点:92
通算打率:.263

丸佳浩(広島→巨人)
FA移籍先での通算成績
試合:143
打数:631
安打:156
本塁打:27
打点:89
通算打率:.292

西勇輝(オリックス→阪神)
FA移籍先での通算成績
試合:26
勝利:10
敗北:8
通算防御率:2.92

 2018年にFA移籍した浅村と丸は、加入1年目からシーズンフル出場を果たし、チームの主力として活躍。ともにベストナインとゴールデン・グラブ賞にも選ばれている。2020年も不動のレギュラーとしての活躍が期待される。

 また、炭谷は捕手を使い分けるチーム方針と骨折の影響で58試合の出場にとどまったが、持ち味であるリード技術の高さでチームに貢献。バットでも自己最高となる6本塁打、打率.262を記録した。現在は2番手捕手という立場だが、正捕手の座を奪うような活躍が期待される。

 FA移籍を経験した現役選手の成績をまとめてみたが、現在チームに欠かせないレギュラーとして活躍できているのは、野手では内川聖一、糸井嘉男、大和、浅村、丸。投手では増井のみが期待どおりの活躍ができていると言える。それ以外の選手は、不調で移籍前のチームにいたころのような成績が残せなかったり、ケガの影響で満足に出場できていなかったりと、苦しんでいる状況だ。

 また、中田や涌井といった、FAで加入したチームを離れ、別チームに活躍の場を求めるケースも少なくない。両者ともに実績は十分なだけに、再び輝く可能性は十分にあるだろう。

 前述のように2019年オフは美馬、鈴木、福田の3人がFA移籍。いずれもレギュラーとしての活躍が求められており、特に美馬は早々に開幕投手に指名されるなど、チームからの期待も厚い。果たして彼らは期待に応え、「FA成功組」に入ることができるのか注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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