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川口和久WEBコラム

「サンデー松坂」に俺は大賛成だ。今年はメットライフに松坂の生きざまを見にいこう!/川口和久WEBコラム

 

松坂大輔のための日曜日


再生へと必死のマウンドが続く松坂



 プロ野球の開幕が決まらない中、2020東京オリンピックも揺れている。
 今年の日程はオリンピックによる中断期間を前提に組まれていただけに、それが決まらないのはきつい。
 一度発表しても、仮に秋、10月開催になったらシーズン佳境と重なるから、再度変更しなきゃいけないしね。

 細かいことは週べのコラムに書いたが、俺はもう、ポストシーズンは年末年始でいいと思う。
 そうすればオリンピックに一喜一憂しなくていいし、実際、ここまでドーム球場がたくさんあるんだから、冬開催自体は何の問題もない。

 まあ、それはさておき。
 今回は「サンデー松坂」について書いてみたい。
 西武松坂大輔が毎週日曜に投げるのでは、という話だ。

 1985年、ロッテ村田兆治さんがヒジの靭帯移植手術を受けて復帰した際、医師に1週間に1度の登板と制限され、それがほとんど日曜で11連勝したことがある。
 これで「サンデー兆治」と呼ばれ、当時の流行語にもなった。

 今のファンからしたら「1週間に1度に制限」に違和感があるだろうが、当時は中4日とか、途中降板なら中1日、中2日で普通に投げていた。しかも村田さんは医師に「100球限定」と言われていたのに聞かず、10完投で17勝を挙げている。
 ホント、怪物だね。

 練習試合が中断されたこともあり、公式戦開幕後、松坂が本当に日曜限定になるのかどうかは知らないが、俺は大賛成。ぜひやってほしいと思う。
 まずは集客力。ここ何年かのメットライフは西武が強かったこともあって、週末はかなりお客さんが入るようになったが、松坂が投げたら、さらにたくさんになるはずだ。

 しかも、今年はしばらく、鳴り物も大声の応援もなしになりそうだから、一緒に行く家族や仲間たちとの「語り」も多くなると思う。松坂ならいくらでも話せるという人も多いでしょ。高校時代、西武時代、WBC……。ネタはいっぱいあるからね。

 もう一つ。ベテランで、完投はまず無理という松坂が、結果を出す条件を考えたとき、これがベストと思うからだ。
 彼は、もう真っすぐの球威で抑えることはできない。動く球で何とか芯を外してというピッチングになるだろう。制球も決して盤石のタイプではないし、せいぜい5回か6回だと思う。
 こうなると、松坂先発の試合はイコール「リリーフ勝負」となる。

 日曜日の良さはそこだ。月が休みだからリリーフに無理がきく。
 俺も巨人のコーチ時代、日曜はピッチャーに「今日は全員で行くぞ。勝てると思ったら早めに行くから準備しといてくれ」という話をした。
「サンデー松坂」と言っても、昔の村田さんみたいに試合を松坂に任せるというわけじゃない。むしろ、みんなで松坂のために投げて打って勝つ日という考え方だね。
 昨年の西武も先発に不安がある中、打線とリリーフ陣でしのいできたチーム。選手たちにも違和感はないと思う。

 ただ、これを成立させるためには、やはりそれなりの勝率がほしい。勝たなきゃ、なんでここまで松坂のために、と自然になってくる。
 そのためには、ベンチは松坂の状態を早め、早めに見極め、引っ張り過ぎないこと、あとは前日の土曜に完投能力のある投手を置き、リリーフ陣を休ませておく必要がある。幸い西武であれば、そこにニールがはまる。
 これ、結構斬新なローテ構築案だね。

 オープン戦、練習試合の松坂を見ていると、ほとんど肩を気にしている様子はないし、まだ「名前で勝負」もできる。単なるファンサービスにはならないと思うよ。
 詳しいことは知らないが、松坂は日本に帰ってきてから自腹で日本各地のいいと言われる治療院を回っているようだ。今の状態を見ると、いい先生を見つけたのかもしれないね。

 これは「野球選手あるある」だが、ヒジは手術でいいかもしれないけど、肩とか腰に関しては、民間治療というか、病院以外に行く人は昔から多い。
 俺もそうだった。現役終盤は腰のヘルニアに苦しんだが、病院に行ったら手術しかないと言われた。手術したらどうしたって復帰まで時間がかかる。年齢がいくと先が短いから、手術をしたらもう終わりだと思って、紹介してもらった民間の治療院に行ったら3日で治った。その後何も後遺症もない。

 もちろん、リスクはある。悪化させる可能性もあるだろう。ただ、松坂もそうだったと思うが、医師から難しいと言われても野球を続けたいと思ったとき、そちらの選択肢しかないときもある。
 
 今年は松坂の打たれざま、失礼、生きざまをメットライフに見にいこうかな。
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