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東京六大学開幕は延期。1校5試合の勝率で優勝争いが展開へ

 

東京六大学野球連盟は4月5日、臨時理事会(神宮球場)で春季リーグ戦の開幕を5月下旬とすることで決議したが、この先も、予断を許さない状況は変わらない


 事態の深刻さが、この言葉に凝縮されていた。

「楽観的な判断ではない」

 東京六大学野球連盟は4月5日、神宮球場で行われた臨時理事会で春季リーグ戦の開幕を「5月下旬」をメドとして、準備を進めることで決議した。当初は4月11日の開幕を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大幅な延期となった。同連盟・井上崇通理事長(明大部長)の冒頭のコメントからは、相当の危機感が伝わってきた。

 同1日の臨時常務理事会では「5月中旬」との方針を固め、この日の臨時理事会で諮られる予定だった。しかし、情勢は刻一刻と変わっていることが、あらためて示された。同3日、NPBとJリーグによる「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第5回会議には、大学球界からもオブザーバーとして出席。東京六大学野球連盟・内藤雅之事務局長は「専門家からの提言も考慮した」と、さらなる延期の理由を説明した。NPB、Jリーグとも開幕、再開が「白紙」との現実を受け止め、大学球界も慎重に協議する必要性が増している。

 とはいえ、この日も「5月下旬」に設定しただけで、東京六大学野球連盟・井上理事長は「場合によっては6月以降、最悪は中止も含めている。状況は日々、変わっている。予断を許さず、変更の可能性もある。感染拡大していることも考慮し、無観客試合も考えながら対応していく」と厳しい表情で話した。5月18日の週に、開催の可否を判断。仮に開催となった場合も、内藤雅之事務局長は「応援については難しいと思います」と見通しを語った。この春、“神宮の華”が見られないのは寂しい限りだが、状況を見れば仕方ない。

 リーグ戦の運営方式は1946年春以来、5回目の1試合総当たり制となる。つまり、1校5試合の勝率で優勝争いが展開される。1敗が重くなり、ダンゴになる可能性もある。

 加盟6校は活動停止(東大)、活動自粛(早大)、自主練習(慶大、法大)、時間別練習(立大)、規模を縮小(明大)など、その動きはさまざまだ。なお、この日の臨時理事会では、4月中の対外試合(オープン戦)の実施は見送ることが確認された。コンディションの調整は難しくなっているが部員の健康、安全が最優先で、今後も現場は柔軟な対応に迫られる。

 3月27日から活動停止中の東大・井手峻監督は「メドが立たない。(大学からの要請が)もっと厳しくなるかも……。各自に任せるしかない」と頭を抱えた。慶大・堀井哲也監督は「健康管理が一番ですが、こういうときだからこそ、考えられることもある。野球だけではない。社会の情勢と向き合うことも大事。生活については、個々が責任を持って行動していくことが大切になる」と神妙に語った。

 不要不急の外出を控えることが、呼びかけられている。不安を抱える日々が続くが、いまだからこそ、何ができるか。感染拡大防止を念頭に、注意深く生活していくしかない。多くの専門家が声を大にしているが、まずは、一人ひとりの心がけにかかっている。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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