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なぜ? 「松坂世代」から名球会入りの選手が誕生しない理由とは

 


 日米通算200勝利以上、通算250セーブ以上、通算2000安打以上が入会条件の「名球会」。球史に名を刻んだ証として、通算868本塁打の王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)、ミスタープロ野球・長嶋茂雄氏(現巨人終身名誉監督)、日米通算4367安打のイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)、鉄腕の異名で愛された通算276勝右腕・稲尾和久氏、通算206勝193セーブをマークした江夏豊氏と豪華な名前が並ぶ。福留孝介阪神)、青木宣親ヤクルト)、鳥谷敬ロッテ)、内川聖一(ソフトバンク)は第一線で現在もプレーしている。

 不思議なことに、プロ野球をわかせた中心の世代として多くの名選手を輩出してきた「松坂世代」は名球会に入った選手が1人もいない。横浜高3年春夏連覇を達成し、世代の中心で球界を牽引してきた松坂大輔、ソフトバンクのエースとして長年活躍してきた和田毅、ソフトバンク、巨人で抜群の安定感を誇った左腕・杉内俊哉、通算360本塁打を放った村田修一……松坂と和田は現在も現役でプレーしているが、名球会入りは厳しい状況だ。上記の4選手の通算成績は以下のとおり。

松坂大輔(西武)
・日本 114勝65敗
・米国  56勝43敗※日米通算170勝
 
和田毅(ソフトバンク)
・日本 130勝70敗
・米国  5勝 5敗※日米通算135勝

杉内俊哉     
・142勝77敗

村田修一
・1865安打 打率.269、360本塁打

 松坂は西武で高卒入団した年から3年連続最多勝など8年間で108勝を積み上げ、レッドソックスでも07年に15勝、08年に18勝と28歳で通算141勝をマーク。200勝は時間の問題かと思われたが、翌09年以降は度重なる右肩、右肘の故障でシーズン2ケタ勝利はゼロ。中日在籍時の昨年も右肩の故障が響き、未勝利に終わった。

 和田もダイエー、ソフトバンク在籍時の9年間で7度の2ケタ勝利を挙げるなど計107勝をマークしたが、メジャー挑戦した12年から左ヒジの故障など4年間でメジャー通算5勝。日本球界に復帰した16年に15勝を挙げて最多勝を獲得したが、18年は左肩痛で一軍登板なしと故障との闘いが続いている。

 杉内も松坂、和田同様に故障に泣かされた。ダイエー、ソフトバンクでエースとして活躍し、巨人にFA移籍後も3年連続2ケタ勝利と活躍したが、15年に股関節痛で戦線離脱すると、16、17、18年と3年間公式戦登板なしで現役引退した。

巨人・村田修一


 村田は「名球会に最も近づいた男」だった。長距離砲として横浜(現DeNA)、巨人で活躍し、通算1865安打をマーク。17年限りで巨人から戦力外通告を受けて退団したが、同年も118試合に出場して100安打放ち、打率.262、14本塁打の成績を残していた。まだ十分できると思われたが、NPBで獲得する球団が現れず、18年に独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスで1年間プレーして現役引退した。

 時代を彩ったスーパースターでも名球会入りできないのは、故障やチームの若返り策などさまざまな要因がある。松坂世代は野手より投手に優れたタレントが多い。一部の識者から指摘される「通算2000安打より、通算200勝のほうが達成のハードルが高い」という分析も一因かもしれない。

 ただ、「松坂世代」で最も名球会入りの可能性が高い選手がいる。阪神の藤川球児だ。日本通算59勝35敗241セーブ、メジャー通算1勝1敗2セーブ。日米通算243セーブで名球会入会資格の250セーブまで残り7に迫っている。今季も守護神を務めることから達成の可能性は十分にある。

写真=BBM
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