正捕手として長くチームを支えた
嶋基宏が
ヤクルトに移籍し、今季の楽天は誰が正捕手を担うのかが注目される。そこで昨季は二軍バッテリーコーチを務め、今季から一軍の作戦コーチとなった
野村克則コーチに今季の正捕手争いについて聞いた。
「やはりキャッチャーはチームにとって重要なポジション。育てるのは難しいし、根気がいると思うけど、昨年は1年目の太田を55試合に出している。球団はすごく期待しているんじゃないかなと思う。太田の足りない部分をカバーするのが足立(
足立祐一)や斐紹(
山下斐紹)、下妻(
下妻貴寛)になってくるのかなと」。長くチームを支える若い捕手を育てるべく、ベテラン捕手にはサポートがメーンの仕事となりそうだ。だが、それは「いつ試合に出しても彼らはある程度のことはやってくれると思う」と信頼を置くからこそ。若手の成長にはその存在が必要不可欠だ。
一方で昨季、嶋に続く出場数となった
堀内謙伍には太田と切磋琢磨することが求められている。昨オフに行った右ヒジのクリーニング手術によって出遅れてはいるが、「堀内も昨年はかなり経験させてもらっている。今は太田でいっているけど長いシーズンを考えたときに、太田が143試合全部に出られるかは分からないところがあるから」とチャンスは巡ってくるだろう。そこでいかにアピールできるかが、現状を変えるカギになる。
2018年オフに外野手から捕手に再転向した
岡島豪郎はオープン戦期間中に右親指を骨折したこともあり、二軍スタートとなりそうだ。「岡島はバッティングがいいからね。だけどキャッチャーの経験というところでは結構ブランクがあるから、少しファームの試合に出て、キャッチャーの感覚を養ってもらうかな」。足立や山下らからその座を奪うためにも復帰後は結果が求められる。
2年目ながら高い期待を寄せられ、オープン戦や練習試合では捕手としてチーム最多の出場を果たした太田。このチャンスをつかむことができるか、重要な1年になりそうだ。そこに堀内や2月21日に支配下を勝ち取った下妻らがどのように割って入るのか。今季の正捕手争いは今後のチームの正捕手を決めるうえで重要になる。嶋の移籍によって大きく空いた穴を埋めるのは簡単なことではないが、熾烈な争いの先にチームを背負う捕手の誕生が待っている。
文=阿部ちはる 写真=BBM