週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

「根尾より上」と他球団を驚かせた下位入団のルーキーとは

 


 今年の高卒ルーキーは最速163キロ右腕のロッテ佐々木朗希、高校通算55本塁打の中日・石川昂弥、完成度はNo.1の呼び声高いヤクルト奥川恭伸がメディアで取り上げられる機会が多かった。

 いずれもドラフト1位入団で入団前から注目されてきた逸材だったが、プロに入ったら指名順位は関係なく横一線の勝負となる。2月の春季キャンプで、首脳陣の評価が急上昇したのが中日のドラフト5位・岡林勇希だった。キャンプでの実戦は6試合で9打数3安打、打率.333。俊足巧打のプレースタイルで強烈にアピールし、中日ナインたちの間で「岡林はいい選手だよ」と話題になるほどだった。実戦を視察した他球団のスコアラーも高い評価を口にする。

「木製バットに変わるので打撃は時間がかかるかなと思っていましたが、プロの投手の変化球にきっちり対応して直球にも力負けしない。ドラフト1位の石川昂が注目されていますが、岡林も一軍デビューの可能性は十分にあると思います。対応力の点では根尾より上ではないでしょうか」

 ドラフトは下位指名だが、三重県の菰野高では「二刀流」で野球センスが抜群だった。投手で最速153キロの直球と縦に落ちるスライダーが武器に三振の山を築き、野手でも攻守走3拍子そろった好選手で高校通算21本塁打をマーク。遠投120メートル、50メートル5秒8の快足と身体能力の高さは高校生屈指だった。

 中日は岡林を投手としても高く評価し、入団時は投手で登録された。だが、1月の自主トレを経て、春季キャンプ前に本人の希望で野手として勝負することを決意した。そのプレースタイルが重なるのが昨年のドラフト1位・根尾昂だ。投手と打者の二刀流で大阪桐蔭高の春夏連覇に貢献した根尾は岡林のあこがれだった。根尾の本職は内野だが、昨年の秋季キャンプから出場機会を増やすために外野にも挑戦している。岡林はあこがれの先輩とプロの世界で切磋琢磨する。

 高卒の下位指名でプロの世界に飛び込み、球界を代表する選手になった選手は少なくない。いずれも92年ドラフト4位でオリックスに入団したイチロー、近鉄に入団した中村紀洋は高校時代にエースで主軸を打っていた。ほかにも、89年ドラフト5位で広島に入団した江藤智、90年ドラフト4位で広島に入団した前田智徳、74年ドラフト6位で阪神に入団した掛布雅之など天才打者たちがズラリ。岡林はプロの世界で下克上できるか。今後の活躍が注目される。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング