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イチロー、秋山幸二……攻守走そろった往年のオールラウンダー

 

 バットを握れば快音を連発、走ればスペシャリストも顔負けの走塁を見せ、さらに守りも完璧という走攻守そろった選手はどんなチームでも欲しがるもの。現役では、巨人坂本勇人丸佳浩ヤクルト山田哲人などがこうした選手に挙げられるが、過去には彼らに負けないオールラウンダーがいた。今回は、「走攻守そろった往年のオールラウンダー」をピックアップして紹介する。

攻守走そろったスター



 攻守走そろったオールラウンダーとして多くの人が挙げるのがイチローだろう。オリックス時代の1994年には打率.385を記録するなど、圧倒的なバットコントロールで安打を量産。1995年は25本塁打と長打力があるところも見せつけた。また、NPB通算199盗塁と走力も抜群だった。守備に関しても走力を生かした守備範囲の広さと強肩を武器に、1995年と1998年はリーグ最多補殺数を記録している。

 西武、ダイエーで活躍した秋山幸二も、攻守走三拍子そろった名選手だ。西武では実働11年のうち、9年間でシーズン30本塁打以上を記録。その上、1985年から1987年までは3年連続で40本塁打以上を放っている。また、盗塁も1990年はリーグ最多の51を記録。外野の守備に関しても広い守備範囲で黄金期の西武をけん引、アクロバティックなプレーでもファンを魅了した。

 1993年のオフに西武とダイエーの間で秋山を含む3対3の大型トレードが発表されて話題になったが、このときダイエーから西武に移籍したのが佐々木誠。この佐々木も1990年代を代表するオールラウンダーだ。打撃は長打力よりもバットコントロールに優れており、1992年にはNPB史上2人目となる首位打者と最多盗塁のダブル受賞。ゴールデン・グラブ賞も91年から4年連続で受賞し、外野守備にも定評があった。

1990年代広島を支えた2人のオールラウンダー



 1990年代の広島には、2人の攻守走そろった名プレーヤーがいた。それが野村謙二郎と緒方孝市だ。野村はプロ1年目から一軍に定着し、2年目はレギュラーとして125試合に出場。卓越したバッティング技術を武器に1991年はリーグ最多の170安打を放ち、打率.324と好成績を残した。その後も1994年、1995年と3割以上を記録。また、3度の最多盗塁に輝くなど走力も高く、1995年には遊撃でゴールデン・グラブ賞も獲得。その後は度重なるケガで調子を落とすことになるが、攻守走そろった名プレーヤーだった。

 1987年ドラフト3位で広島に入団した緒方は、1991年に102試合に出場するもののなかなかレギュラーがつかめなかった。しかし、1995年にケガで離脱した前田の代わりにレギュラーになると、その年は最多盗塁のタイトルを獲得。そこから3年連続で同タイトルを受賞した。また、1999年には36本塁打とバットでもチームを支え、守備でも外野で1995年から5年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得。前田と同じくケガに苦しんだが、攻守走のいずれも高いレベルの選手だった。

攻守走に優れた名スイッチヒッター


阪急・松永浩美


 1980年代に阪急の主軸として活躍した松永浩美は、阪急時代に10年連続で2ケタ本塁打、シーズン3割も6度記録。1985年にはリーグ最多の38盗塁でタイトルにも輝いている。守備力も高く、三塁手として4度のゴールデン・グラブ賞に選ばれている。

 松永は走攻守に優れているだけでなく、スイッチヒッターとしても有名だったが、後に同じように攻守走優れたスイッチヒッターが登場する。それが松井稼頭央だ。MLBに挑戦するまでの西武在籍10年間では3割を7度記録。1997年に62盗塁、翌1998年は43盗塁、さらに1999年は36盗塁をマークして3年連続でタイトルを獲得と、走力も抜群だった。遊撃手として4度のゴールデン・グラブ賞に選出されるほどの球界屈指の守備力も兼ね備えていた。

 往年のオールラウンダーとしては、阪急や巨人で活躍した簑田浩二を忘れてはならない。簑田は1983年にNPB史上4人目のトリプルスリーを達成するなど、巧みなバットコントロールと長打力、走力を兼ね備えていた選手。また1978年から8年連続でダイヤモンドグラブ賞(現在のゴールデン・グラブ賞)に選ばれる高い外野守備力も持ち味だった。

「攻守走そろった往年のオールラウンダー」を紹介した。今年のルーキーの中には、往年のオールラウンダーのようなスターに成長する逸材は果たしているのか。残念ながら開幕は不透明な状況だが、無事に開幕した際には、将来のオールラウンダー候補を探してみてはいかがだろうか。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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