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高校球児回顧

スカウトに「内容」を評価された“スラッガー”智弁和歌山高・西川遥輝【高校球児回顧】

 

2010年春、雨中の一戦となったセンバツ1回戦(対高岡商高)。智弁和歌山高の「三番・右翼」の西川遥輝は5打数2安打2打点をマークした


 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、センバツ高校野球は史上初の「中止」。春の公式戦も各地区で中止が相次いでいる。

 夏の地方大会、8月の甲子園大会の開催を目指しているが、予断を許さない状況が続く。不要不急の外出を控えた上で、緊急事態宣言の解除、一日も早い収束、そして球音が戻る日を待っている。

 ちょうど10年前、2010年春のセンバツで球春を彩った、高校球児を振り返っていく。

 1年夏、2年夏に続き、自身3回目の全国舞台となったのは智弁和歌山高・西川遥輝(現日本ハム)だ。NPBスカウト注目のスラッガーとして出場した同大会、前評判どおりの鋭い打球を披露した。高岡商高(富山)との1回戦では2点適時三塁打。フォロースルーが大きいスイングに、将来性の高さを感じたものだ。

 好きなプロ野球選手に岩村明憲(元ヤクルトほか)、西岡剛(元阪神ほか)を挙げたように広角打法が持ち味。過去2度の甲子園は故障を抱え、満身創痍だった。この春は万全のコンディションで挑んだが、優勝した興南高との2回戦では3打数無安打(2三振)。左腕エース・島袋洋奨(元ソフトバンク)の対応に課題を残し「力不足」と甲子園を後にした。

 センバツ以降もNPBスカウトの西川への視察が続き、3年夏は3季連続での甲子園出場。成田高(千葉)との1回戦では相手の右腕・中川諒(のちJX-ENEOS)を攻略できず、3打数無安打に終わる。チームも1対2で敗退し、最後の夏は不完全燃焼に終わった。とはいえ、計4回の甲子園で9試合を戦った経験値(36打数12安打、8打点)は、その後の西川の原動力となる。

 スカウトとは試合の「結果」よりも「内容」を重要視するものである。西川は日本ハム2位指名。2位はウエーバー順となるが、全体で18番目の指名だった。同年の1位指名は習志野高・山下斐紹(捕手/ソフトバンク)、履正社高・山田哲人(内野手/ヤクルト)、前橋商高・後藤駿太(外野手/オリックス)の3人。つまり、西川は高校生野手4番目の評価だった(全体16番目の修徳高・三ツ俣大樹=オリックス、はプロ入り後に野手転向)。

 端正なマスクで女性から絶大な支持を集めているが、高校時代から不動の人気を誇った。入団10年目の2020年から日本ハムの主将に就任。文字どおり、北海道の「顔」として、多くを発信していくことが期待される。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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