力が入るのは当然だ。昨季、育成ドラフト1位でオリックスに入団し、今春キャンプ中に支配下登録。“2年目のルーキー”漆原大晟は、一軍マウンドを待ちわびていたとあって、自然と投球に熱が入る。

　ただ、パフォーマンスを最大限に発揮するには、不要な力はなくしたいところ。当然、本人も承知のうえ。常時セットポジションで投じるフォームだが、グラブ位置を胸の前から腰の位置に変えたのも、自然体を意識してのことだ。

「胸の前で構えていたときは、どうしても肩に力が入ることがあったんです。だからグラブの位置を下げて力まないようにしました。力を入れず、リラックス。そうしてスムーズに体を動かすことを意識しているんです」

　捕手のサインをのぞき込む際、ボールをフォークの握りで持つのも、自然体を貫く1つの理由で、新潟医療福祉大時代から続けていること。

「フォークの握りから、ほかの握りのほうが移行しやすいんです。スムーズに握り替えができるので。でも、もっと自然に投げれる形があるかもしれない。キャッチボールのときなどに、ほかの握りでボールを持って、そこからから握り替えてみたり、いろいろ試してもいるんです」

　その落差のあるフォークと150キロの直球が武器の右腕は昨季、ウエスタンで23セーブを挙げてタイトルを獲得。今季は先発起用も試されるなど、大きな期待を寄せられる。それでも、気負うことはない。

「『早く開幕してほしい』『早く一軍の舞台に立ちたい』という思いは強かったですが、今、この期間をムダにしないようにしたい」

　初の一軍マウンドへ。自らの実力を示すため、自然体を貫く準備を進めていく。

写真＝BBM