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清原にクロマティ……今も語り継がれる大乱闘

 

 最近は少なくなったが、かつては危険な投球や微妙な判定をきっかけに乱闘がたびたび起こっていた。時には両軍入り乱れての大乱闘に発展することもあり、その光景を見てエキサイトしたファンも多いだろう。今回は、過去に起こった中から、今も語り継がれる大乱闘をピックアップして紹介する。

バット投げからヒップアタック……懐かしい大乱闘


平沼にヒップアタックを食らわせた清原


 乱闘を語る上でまず外せないのが、1989年9月23日の西武ロッテ戦(西武球場)で起こった騒動だ。4回の西武攻撃時、打席に立つ清原和博に対し、ロッテの平沼定晴が内角に投じたボールが清原の左ヒジにヒット。怒った清原はマウンドの平沼に向かってバットを投げつけた。これに激高した平沼は清原に向かって猛然とダッシュするが、清原は突撃してきた平沼をヒップアタックで迎撃。両チームの選手が駆け寄り、大乱闘に発展した。清原は自軍ベンチに逃げ込む前にロッテの助っ人マイク・ディアズに捕まり、ヘッドロックを食らわされて撃沈。清原には2日間の出場停止の処分が下され、平沼も全治2週間のケガを負ってしまった。

 ヒップアタックといえば、バントの神様と称された川相昌弘も有名だ。1993年6月8日、富山アルペンスタジアムで行われた巨人ヤクルト戦は、1回に巨人サイドの執拗な内角攻めによって古田敦也が死球を受けたことで両軍が詰め寄る事態に発展した。このときは大きな騒動になることなく両軍はベンチに下がったが、続く広沢克己が左越え二塁打を放った際、走者の古田がホームに突撃。巨人の捕手・吉原孝介が古田をブロックした後、古田の上にのしかかり、過剰ともいえるタッチを繰り返した。これにヤクルトのジャック・ハウエルが食ってかかったことで両軍の我慢の糸が切れたのか、大乱闘に発展。集団に向かって川相がヒップアタックで突撃する光景がしっかりとカメラにとらえられ、全国に放送された。

乱闘も個性的だった巨人の名助っ人


宮下に襲いかかったクロマティ


 巨人史上最強の助っ人とも称されるウォーレン・クロマティは、その陽気な性格でも人気を博したが、1987年6月11日の中日戦(熊本藤崎台)ですさまじいパンチを相手投手に食らわせている。巨人が4点リードの7回、中日のリリーフ・宮下昌己が投じたボールがクロマティの背中にヒットした。失投ではなく意図的にぶつけてきたのが明らかなボールだったため、さすがのクロマティも激怒。ヘルメットを投げ捨ててマウンドの宮下に駆け寄ると、強烈な右ストレートを宮下の顔面に食らわせたのだ。これがきっかけで大乱闘に発展。桑田真澄にホールドされながらなだめられるクロマティと、王貞治監督に拳を見せつけながら「殴ったぞ」とアピールをする星野仙一監督が印象的だった。

審判にボールを投げつけたガルベス


 巨人の助っ人による大暴走といえば、バルビーノ・ガルベスの「ボール投げ事件」も有名だ。1998年7月31日の阪神戦(甲子園)で先発したガルベスだが、思うような投球ができないことに加え、この日の主審を務めた橘高淳審判が微妙な判定を続けたことでフラストレーションをため続けていた。6回、再び橘高審判がストライクだと思われた投球をボールと判定。直後に本塁打を打たれたことで、ガルベスは我慢ができなくなり橘高審判に抗議。事態を収めるために長嶋茂雄監督がガルベスを交代させようとするも、ガルベスの橘高審判に対するイライラは止まらず、ついに審判団に向かって持っていたボールを投げつける暴挙に出てしまった。これがきっかけでガルベスと橘高審判との乱闘になり、ガルベスは残りのシーズンを出場停止の処分になってしまった。

乱闘の主役は助っ人が多かった


東尾に殴りかかったデービス


 クロマティやガルベスなど、大乱闘の主役は助っ人外国人であることが多かった。例えば、1986年6月13日の西武対近鉄戦(西武球場)。西武・東尾修の投球が近鉄のリチャード・デービスのヒジにヒットし、怒ったデービスはマウンドに突撃して東尾に強烈なパンチを4発食らわせた。東尾の執拗な内角攻めは有名だが、この日は直前に近鉄の鈴木貴久が頭部付近にボールを投じられており、これもデービスが激高した原因だといわれている。

 ほかには、1991年5月19日に秋田八橋球場で行われた近鉄対ロッテ戦では、近鉄の助っ人ジム・トレーバーがロッテの園川一美から死球を受けて激高。逃げる園川を追いかけまわす事態に発展した。ものすごい勢いで追いかけるトレーバーをロッテの選手が止めようとするが、これを弾き飛ばしながら園川を追いかける姿は恐ろしいものがあった。外野でトレーバーは捕まりいったん騒動は収まるが、実はこのとき、ロッテの金田正一監督がトレーバーを踏んづけていたという。死球よりも踏まれたことに怒ったトレーバーは、ベンチに下がった後、今度は金田監督目がけて突進。しかし、金田監督まであと少しというところで足がもつれて転倒し、再び金田監督に顔面を蹴られることになった。

 今も語り継がれる大乱闘の中からピックアップしてご紹介した。いずれも「当時リアルタイムで見ていた」という人も多く、珍プレー好プレーなどのテレビ番組でたびたび紹介されているので、若いファンでも知っているという人が多いだろう。最近はビデオ判定の採用や過剰な接触プレーを避けるコリジョンルールの導入などもあり、大乱闘に発展するケースは少なくなっている。暴力沙汰は問題ではあるが、乱闘が起こった時の騒然とした球場の雰囲気をもう味わえないのは、少し寂しい気もする。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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