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首位打者、防御率、本塁打……最もハイレベルだった個人タイトル争いは?

 

 2019年のセ・リーグは、中日大野雄大広島クリス・ジョンソンが最優秀防御率のタイトルを争い、最終的に0.01差で大野がタイトルを獲得。接戦を制した。こうした防御率や打率争いは僅差になりやすく、どちらに軍配が上がってもおかしくない大接戦になることがある。今回は、そうした「高いレベルで接戦となったタイトル争い」を紹介する。

史上最も接戦かつハイレベルだった1976年の首位打者争い



「首位打者争い」は、1厘差どころか「毛」の単位での接戦も多いのだが、過去最もハイレベルかつ接戦だったのが1976年の中日・谷沢健一と巨人・張本勲だ。日本ハムから巨人に移籍してきた張本は、序盤から安打製造機の異名どおりの活躍を見せ、常に首位打者争いのトップを走っていた。これをヤクルト若松勉が追う形でシーズンは進むが、若松に次ぐ打率だった谷沢が10月に入ってから48打数25安打と5割を超えるペースで打ちまくった。

 9月末の時点で張本と谷沢の打率の差は2分もあったが、谷沢は驚異の活躍で一気に若松を抜き、張本を猛追。10月16日に巨人が全日程を消化し、張本が谷沢と4厘差の打率.35477で先にシーズンを終えると、谷沢は残り4試合でこの差を逆転。プレッシャーのかかる中、見事に首位打者のタイトルを獲得した。谷沢の最終打率は.35483、張本は.35477で、その差はわずか「.00006」(6糸)。NPB史上最も僅差での決着となった。

 ちなみに、この年のセ・リーグは10位の巨人・高田繁まで全て3割超え。谷沢と張本の接戦がクローズアップされがちだが、誰が首位打者になってもおかしくなかった。

1点台前半で争った末に0.01差で決着



「最優秀防御率」は、首位打者と同じく接戦での決着になることが多いタイトルだ。過去には数多くの僅差による決着があるが、特にハイレベルの接戦だったのが1956年。この年は巨人・堀内庄と、抜群のコントロールが特徴の阪神・渡辺省三による驚異の最優秀防御率争いが繰り広げられた。

 1954年に巨人に入団した堀内は、プロ3年目のこの年に頭角を現し、巧みなコントロールで勝ち星を積み上げていく。1952年に阪神にテスト入団した渡辺は、翌1953年に一軍に昇格すると、抜群のコントロールと変化球でローテーションに定着。迎えた1956年シーズンも順調に白星を重ねてチームをけん引した。最終的に堀内は37試合に登板して14勝4敗、防御率1.46。対する渡辺は52試合に登板して22勝8敗、防御率1.45と、堀内をわずか0.01差で勝り最優秀防御率のタイトルを獲得した。

 この年に2人が残した防御率はNPB歴代46位(渡辺)と49位(堀内)。史上まれに見るハイレベルな「最優秀防御率」争いだった。

本塁打争いはローズとカブレラの名助っ人対決が最高峰



 最多本塁打のタイトルでは、2003年の近鉄タフィ・ローズと、西武アレックス・カブレラの争いがハイレベルだった。ローズは2001年に、カブレラは2002年に王貞治が記録したシーズン55本塁打に並ぶシーズン本塁打を記録。驚異的なパワーで毎シーズン本塁打を量産していた2人だが、これまで僅差での決着はなかった。

 しかし、2003年の2人はすさまじいデッドヒートを展開する。ローズが打てばカブレラが打つという状況が続き、ともに50本塁打で10月に突入。どちらが先に抜け出すのか注目を集めた。その後、10月5日に西武は全日程を消化し、カブレラは50本塁打で終了。まだ残り試合のあった近鉄のローズは、10月7日の試合で51号を放ち、1本差で最多本塁打のタイトルを獲得した。結局、カブレラは3割50本塁打で100打点超えと脅威の成績を残しつつ無冠。50本塁打を放って最多本塁打のタイトルを受賞できなかった唯一の例となってしまった。

 首位打者、最優秀防御率、最多本塁打の3つについて、ハイレベルなタイトル争いを紹介した。今シーズンは新型コロナウイルスの影響で試合数が少なくなるため、タイトル争いもいつもとは異なる様相を呈するだろう。もしかすると、過去に例を見ないほどの大接戦となる可能性もある。シーズン開幕はまだ不透明だが、開幕した際はどのようなタイトル争いが繰り広げられるのか注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM

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