週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

過去のタイトル輩出者から見る球団の特徴は?

 

 2019年シーズンは、西武の選手が最高出塁率を除くパ・リーグ野手4タイトルを獲得。一方で投手タイトル受賞者は0人と、「攻撃力は高いが投手力は低い」という球団の特徴を如実に示す結果となった。では、西武以外の球団の「タイトルの獲得傾向」は、「実際の球団の特徴」と一致するのだろうか?

球団ごとのタイトル獲得数は?


昨年、初の首位打者に輝いた巨人坂本勇人


 2005年以降の「タイトル別の獲得数」を集計して「球団ごとの獲得傾向」を調べ、その傾向が実際のチームの特徴と一致するのかを調べてみた。「各球団の個人タイトル獲得数」は以下のとおり。
※最高勝率はセ・パでタイトルに採用された年度が異なるため除外


 こうしてまとめてみると、「投打両方でバランスよく獲得している」「打撃タイトルのうち本塁打や打点に偏っている」など、球団ごとに特徴が異なるのが分かる。では、この獲得傾向と実際の球団事情は一致するのか検証してみよう。

実情と同じチームは?


 タイトル獲得数を見ると、12球団の中で特に投打の両方で優れている印象を受けるのは巨人とソフトバンクだ。巨人は最多本塁打と盗塁のタイトル獲得者が若干少ないものの、その他の打撃タイトルはリーグでも上位。また、投手タイトルは12球団トップの23個と投手力の高さも特徴。ソフトバンクも、打撃タイトルも多く獲得しており、投手タイトルも先発、中継ぎ、抑えとバランスよく獲得。攻守に隙がない。

 実際はどうかというと、3年連続の日本一にも輝いているソフトバンクは、その結果どおりに投打の両方で高いレベルにあり、タイトル獲得傾向と一致している。一方の巨人は、攻撃力はリーグトップクラスだが、昨年の投手成績はリーグ4位と心許ない成績に終わっている。タイトル獲得数から受ける印象とは異なり、投手力はやや劣る。

 中日もタイトル獲得数を見ると投打のバランスがいいチームという印象だ。実際に昨シーズンはチーム打撃成績がリーグトップ、投手成績はリーグ3位と上々で、確かに投打のバランスの取れたチームだった。ただ、リーグ順位は5位と結果に結び付かず。日本ハムもチーム打撃成績はリーグ2位、投手成績はリーグ3位とタイトル獲得数の傾向どおりだったが、中日と同じく5位と、残念な結果に終わっている。

 楽天は打撃よりも投手タイトルの獲得数が多く、どちらかといえば投手力に優れているチームというイメージ。実際に昨シーズンはチーム打撃成績がリーグ4位、投手成績はリーグ2位と、タイトルの獲得傾向そのままの成績だった。

西武やDeNAは「打高投低」


昨年、2年連続音塁打王に輝いた西武・山川穂高


 投打のバランスが悪い印象を受けるのが冒頭でも例に挙げた西武だ。西武は2005年以降の最多本塁打、最多打点、最多安打のタイトル獲得数が12球団最多。最多盗塁もトップタイと、打撃だけでなく「足」でもチームに貢献している選手が多い。しかし、投手陣では、先発は頑張っているものの、中継ぎと抑えのタイトル獲得者が極端に少ない。実際に、ここ数年の西武はタイトル獲得数から見える傾向どおり、打撃はいいが中継ぎと抑えで苦労している。

 DeNAヤクルトも高い攻撃力を誇りながらも、他球団よりも投手力が弱い傾向にある。昨シーズンの投手成績は、ヤクルトがリーグ最下位、DeNAはブービーと低迷。DeNAは得点を許しても強力な打線で打ち勝っているが、ヤクルトは大量失点すると敗北するケースが多かった。西武を含むこの3球団の現状は、これまでのタイトル獲得総数から見て取れる「打高投低」の傾向どおりだといえる。

 阪神は中継ぎと抑えの投手タイトル獲得数が多く、広島は先発投手のタイトル獲得が多い。実際、阪神は強力な先発がいないものの、中継ぎと抑えの成績が安定しており、昨シーズンの投手成績はリーグトップだった。広島は先発の駒はそろっていたが、中継ぎと抑えはかなり苦労しており、タイトル獲得数の傾向と一致する(先発陣も思ったほどの成績を残せなかった……)。

傾向と実情が異なるのは?


 ロッテは、過去のタイトル獲得数から見て取れる傾向と実情が異なっている。ロッテは過去タイトルを見ると本塁打の打ち合いには弱く、そこまで得点力の高いチームではないという印象を受けるが、昨シーズンはリーグ3位の158本塁打を放っており、得点もリーグ2位と非常に攻撃力の高いチームだった。

 オリックスも投打で偏りなくタイトルを獲得しており、バランスのいいチームだという印象を受けるが、実際の昨年のチーム打撃成績はリーグ最下位。投手成績はブービーと、惨憺たる結果だった。今シーズンは巻き返したいところだろう。

 過去のタイトル獲得数から見て取れる各球団の特徴と実情を比べてみたところ、ソフトバンク、西武、DeNA、ヤクルトなど半数以上のチームが特徴と実情が似ていることが分かった。ある意味「チームカラー」といえるものだから、これはそうそう変わらないだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング