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週べ60周年記念

巨人の王貞治の60本塁打ペースは本当か?/週べ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

西鉄・竹之内雅史、驚異の死球ペース


表紙は巨人高橋一三



 今回は『1971年6月28日号』。定価は90円。
  
 前年の不振から長嶋茂雄が完全復活し、王貞治、長嶋のON砲を両輪とした巨人が首位を走っていた。
 6月13日の阪神戦では江夏豊から王が18号、長嶋が17号で勝利に貢献。
 特に王は「60本塁打の期待がかかる」と記事の見出しにもあった。
 解説者・金田正一は「ことしの王は間違いなく三冠王になります。理由を説明したら長くなりますから言いませんが、これは僕の勘ちゅうものです。長いこと野球をやってきたおかげで、僕の勘はよく当たるんです」。
 と言っている。
 ただ、実際には、この言葉はロバーツ(ヤクルト)に本塁打数で3本差をつけられたときだった。
 打率も3割ぎりぎりとパッとせず、130試合制の48試合目に18本では、なかなか60本は…とも思う。

 王自身も「やっと6月になって形になってきた」と慎重な口調だった。
 金田の言葉は、かつての盟友、ライバルへのエールも込めて、だったのだろう。

 加えて、何となくだが、巨人、特に王に関しての記事は、この手の過剰な期待が込められたものが増えてきた気がする。

 世間はむしろ「広島ブーム」。5月13日からの10連勝(1分け挟む)で2位に浮上し、6月8日からの対巨人3連戦も2勝1敗と勝ち越した。
 しかも勝ち方がいい。
 8日は外木場義郎が7回二死まで完全ペース。その後、長嶋の2ランは出たが、あとを受けた安仁屋宗八の好投もあって6対2で勝利した。
 9日は0対3でリードされていたが、7回、衣笠祥雄の4試合連続本塁打を口火に8回に逆転し、5対3で勝利した。
 選手の注目は、翌日に5試合連続弾とした衣笠と首位打者争いにも加わっていた水谷実雄山本浩司(浩二)もクリーンアップに座り、根本陸夫監督の育てた若鯉が躍動していた。

 西鉄ではボレスが任意引退となった。もともと待遇面で文句ばかり言っていた選手だったが、ロッテ戦を無断欠場。事情を聞こうとすると「やめさせてくれ」の一点張りになったという。
 ただ、西鉄には東田正義竹之内雅史と若き強打者の台頭もあり、「ボレスなんかもういらん」の雰囲気があったことも事実。
 竹之内は体(上半身)を大きくベースに乗り出す独特の構えで、ヒットより死球を量産。一昨年11、前年15はいずれもリーグ最多死球だったが、この年は6月14日時点で早くも13としていた。

 では、またあした。
 GWは意外と暇でした。

<次回に続く>

写真=BBM
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