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北別府、大野、川口、前田健……1位は誰? カープ通算勝利数ベスト10を紹介

 

100勝クリアは10人


カープで唯一、通算200勝をマークしている北別府学


 1950年に2リーグ分立とともにセ・リーグに参加し、球団創立70周年を迎えた広島カープ。ではその70年の歴史の中で、数多く勝利を挙げた投手はいったい誰なのか。今回はそのベスト10を紹介していきたい。

 早速1位から行くが、カープでは、通算で200勝をクリアした投手は一人しかいない。これはもう皆さんお分かりだろう。主に1980年代のカープを、エースとしてけん引した北別府学だ。78年から88年にかけては何と11年連続の2ケタ勝利という安定感。コーナーへスライダーとシュートを投げ分けるピッチングは芸術的だった。213勝141敗で、勝率は6割超だ。

 ちなみに、カープでは100勝クリアはちょうど10人。先に言ってしまうと、10位にランクするのは、初優勝の翌年である76年からエースとなった池谷公二郎だ。右手をいったん背中につくところまで回す豪快なバックスイングのフォームが印象的。100勝に満たない投手で、最も100勝に近い11位の投手は、なかなか勝てなかった2010年代前半に、エースとして孤軍奮闘と言っていい活躍を見せた前田健太(現ツインズ)で、カープでは97勝をマークして海を渡った。

 上位からの紹介に戻る。2位は球団創設からの初代エースであり、「小さなエース」と言われた長谷川良平だ。200勝にはわずかに届かずの197勝。「他のチームなら200勝に届いていた」とも言われるが「カープにいたから闘志がわいた」と言ったという話も。

 3位は148勝をマークした大野豊。左腕では実績No.1だ。1シーズンでの最多勝は1987、88年の13勝だが、とにかく実働年数の長さがすごい。77年にプロ初登板、この年は勝利がなく、防御率は135.00だったが、それをバネにした。翌78年から98年まで21年連続で勝利を挙げ、40代になってからは当時の投手の最年長記録を次々と塗り替えた(のちに中日山本昌がそれを更新することになる)「鉄腕」だ。抑えとしても活躍し、その勝利数のほかに138セーブを挙げているのだから恐れ入る。

 4位も先発とリリーフの両方で活躍した投手で、100勝と100セーブを両方クリアしている。138勝106セーブの佐々岡真司現監督だ。プロ2年目の91年には17勝、防御率2.44で最多勝と最優秀防御率の2冠を獲得する活躍でVの使者となり、MVPにもなった。その後は、チームはなかなか優勝に届かなくなってしまうが、その時代をエースとして支えた。長谷川の208敗に次ぎチーム歴代2位の153敗もある意味では勲章だ。

5位以下は果たして?


 勝利数5位は2人がタイで131勝。一人は75年の初優勝時のエースの外木場義郎だ。65年にプロ初先発でノーヒットノーランを達成したというレジェンドで、そればかりでなく、完全試合1度を含めて3度のノーヒットノーランを達成という、2リーグ制後の投手では唯一の記録を持つ。

 5位タイのもう一人は、3位の大野と同年代にライバル左腕として競った川口和久だ。荒れ球だったが、ストレートの威力は抜群で、カープ在籍時代だけでも奪った三振は1938個で球団トップというパワーピッチャーだ。150球ぐらい投げて完投、ということも平気なスタミナもすごかった。

 7位に登場するのが、カープの投手では唯一の永久欠番、「男気エース」の黒田博樹だ。メジャーに渡る前はリーグ最多完投6度で「ミスター完投」とも言われ103勝。メジャーで79勝をマークした後、高額年俸のオファーを蹴ってカープに復帰し、2年間で21勝を挙げて、日米通算200勝をクリアした。

 8位は主に50年代に活躍した備前(大田垣)喜夫で115勝。53年から57年にかけ、20勝1度を含む5年連続の2ケタ勝利をマーク。52年には18歳5カ月で開幕投手を務め、勝利投手になるという、プロ野球の開幕戦最年少勝利記録を持っている。

 9位は主に60年代に先発の一角を務めた大石清で、カープ在籍時のみで113勝。60年から62年にかけては3年連続20勝をマークしており、長谷川に続く2代目エースと言っていい活躍を見せた。

 そして10位の池谷に続く、というわけだ。そうそうたるレジェンドが顔を並べたが、ちなみに現役の1位は? ということになると、78勝の野村祐輔が16位にランクインしているのが最高だ。近年の調子からすると、100勝に到達するまでにはしばらく時間がかかりそうだが、どの時点でベスト10に顔を見せてくれるか。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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