2019年オフにFA権を行使して西武に残留した十亀剣。「言葉ではなく背中でチームを引っ張りたい」と語る先発投手陣のリーダー的存在だ。生涯ライオンズを誓った節目のシーズンで開幕が遅れている状況だが、「こればっかりは仕方ないですよね。感染拡大防止が第一ですからね。今やれることをやっていきます」という。
自主練習期間の数週間、ブルペンに入った回数は片手で数えられるほどで、体力づくりを中心に練習に励んできた。「なかなか開幕のタイミングが決まらないなか、どこに照準を合わせていけばいいのか……調整は難しいですね」と語るが、自主練習期間中、
ニールとコンビを組んで練習に励むシーンが多く見られた。
きっかけは昨シーズン中の出来事だ。「日本人選手は普通、ピッチングのときに体が前にかかりすぎないように、ゴムチューブを使って後ろから体を引っ張って練習するんです。ところが、ニールはゴムチューブを前につけて、前から引っ張っていたんです。逆だなあ、と思って理由を聞いたら、前から引っ張ることで、前のめりになるのを我慢する力を養っている、とのこと。実際の登板時にゴムチューブがなくても、前にかかるのを我慢する力を発揮できるようになるのが狙いで、さっそく自分も取り入れました」。今も2人でこの練習に取り組んでいる。
そんな十亀の自宅での楽しみは、昨年9月に誕生した長女と遊ぶことだ。「1人の野球選手としてはこの状況は複雑ですが、1人の父親としては、子どもが一番成長して変わっていくタイミングで、長く一緒にいられて近くで見守れるのはうれしいことだと思います」
家族のため、ライオンズファンのため、開幕に向けて着々と準備を進めている。
西武ライオンズ