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週べ60周年記念

勝利を呼んだドラゴンズの新鋭スラッガー・大島康徳/週べ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

バットで殴られそうになった東尾修?


表紙は巨人王貞治



 今回は『1971年7月12日号』。定価は90円。
 
 6月17日、一軍初出場したドラゴンズの3年目、大島康徳がいきなり仕事をした。
 中日球場のバックスリーン越えの特大の一発。それを見たヤクルトの一塁手・ロバーツが、
「オオシマ? そんな名前、聞いたことないね。すごいパンチだ。今までどうして出なかったの」
 とびっくりした顔で言っていた。

 この時点でウエスタンの本塁打王、打点王。今回はミラーの故障欠場でチャンスをつかんだ。

 そのまま19日の巨人戦にも先発出場。とにかく目立ったが、このときは活躍したからではない。まず、一塁守備。とにかくうるさい、いや、元気。大声を張り上げ、機敏に動き回る。
 そして打席。得点圏で回ると、普通の若手なら委縮してしまいそうなところだが、すべてフルスイング。3球三振の打席もあったが、投手の倉田誠、捕手の森昌彦が試合後、
「まともに食らったらオーバーフェンスだよ」
 と口をそろえたほどの強烈なスイングだった。
 ファンもまた、
「あの空振りを見るだけで楽しい。あんな打者は今の中日にはいない」
 と喜び、打席に入るときの拍手は一番大きかった。
 大島効果もあって中日は巨人に3連勝。

 大島と同じ69年入団で、前年の70年から一軍に定着していた西鉄の東尾修が6月20日、この年の初完投勝利。自身2勝目だが、前日までチーム全体でも12勝(33敗3分)しかしてなかった。
 稲尾和久監督は「ドラ息子がよくやった。追い込まれても動じなかった。あの根性は大したものだ」と目を細めていたが、本人は、
「ファームでずいぶん鍛え直されましたから。生まれ変わりました」
 と言っていた。

 確かにファームでは鬼頭政一二軍監督にかなり厳しくやられたらしい。6月9日のウエスタン近鉄戦では試合に勝利したにもかかわらず、試合後の練習でたらたらしていたからと、鬼頭監督が「根性を入れてやる」と、さすがに冗談だったと思うが、バットを振りまわし、東尾が逃げ回る場面もあったとか。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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