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ベースボールゼミナール

変化球打ちのポイントは?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.中学進学と同時に硬式野球を始めます。シニアでは変化球が許されていて、例えば大きなカーブなどを打つとき、ストレートを打ってきたレベルスイングではボールとバットの接点がないと思うのですが、ストレートと変化球では打ち方を変えるのでしょうか。変化球打ちのポイントを教えてください。(福岡県・13歳)


巨人丸佳浩(写真はイメージ)


 新型コロナウィルスの感染拡大で、活動はできていないのだと思いますが、いろいろ頭でイメージしてこのような疑問にぶつかったのだと推測します。確かに、ストレートとまったく異なる軌道のカーブをどう打てばいいのか、分からなくて当然でしょう。私が思うに、大きなカーブを含めて変化球というのは、どれだけ練習で打ち込むかが、カギを握ってくると思います。「数をこなさなければ打てるようにならない」と言っても過言ではないでしょう。

 誰もがボールの軌道を頭でイメージをすると思いますが、実戦で軌道を覚えない限り、何も始まりません。どのあたりから曲がってくるのか、高さはどうなのか、キレや角度はどうか。もちろん、ピッチャーが異なれば変化球の軌道も変わりますし、質も、変化量も異なるのですが、慣れておくことで、ある程度、どんなピッチャーが来ても調整がきくようになってくるものです。

 ストレートも変化球も、自分の打つポイントに大きな変わりはないのですが、打ち方に関しては多少の違いは出て当然でしょう。ボールの軌道に合わせようという意識から来るもので、変化球に対してレベルスイング一辺倒では点でしかとらえることができず、これではボールをとらえる確率は上がってきません。変化球の軌道にスイングを入れてあげて、線でとらえる意識を持つと、確率は高まっていきます。だからこそ変化球が入ってくる軌道を瞬時に反応できるくらい、覚えておかないといけないのです。

 ただ、誤解しないでほしいのは、ストレートに対しても普通はラインを引いて打ちにいっているということです。質問の方は「レベルスイング」と言っていますが、確かに水平に近い軌道でバットを出してはいても、たいていの場合、真っすぐのラインに入れて打ちにいっているのです。

 変化球打ちですが、肩口から入ってくるインコースのボールは左肩を開かずにポイントを前にして引っ張る(=長打になりやすい)。真ん中からアウトコース寄りのボールは逆方向に強く打ち返す。この意識を持つといいでしょう。ただし、右対左、左対右で外から体に向かってくる変化球の場合、ラインを合わせることは難しいので、この場合は点でとらえるしかありません。この感覚もポイントととともに、練習を繰り返すことで身につけるしかないと思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2020年5月4日号(4月22日発売)より

写真=BBM
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