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山田哲人、柳田悠岐、斎藤佑樹……明暗分かれた「プロ10年目の選手」たち

 


 2010年のドラフトは大豊作だった。ヤクルト山田哲人ソフトバンク柳田悠岐西武秋山翔吾(現MLBレッズ)、牧田和久(現楽天)、育成枠ではソフトバンク・千賀滉大甲斐拓也牧原大成が入団している。ただ彼らは当時のドラフトで主役として騒がれていたわけではなかった。マスコミから去就が注目されていたのはいずれも1位指名された「早大トリオ」の斎藤佑樹、大石達也福井優也。だが、大石は昨年限りで現役引退し、斎藤、福井は思い描いたような活躍ができていない。あのドラフトから10年の月日が経った。各球団の指名選手を見てみよう。

西武・秋山翔吾


・西武
1位 大石達也(早大)
2位 牧田和久(日本通運)
3位 秋山翔吾(八戸大)
4位 前川恭兵(阪南大高)
5位 林崎遼(東洋大)
6位 熊代聖人(王子製紙)

 大石は6球団が競合したが、当時の渡辺久信監督が交渉権を引き当てた。球界を代表するエースとして期待されたが度重なる故障に苦しみ昨季限りで現役引退。ただ2位で牧田、3位で秋山を獲得し、球界を代表する選手に成長した。

ソフトバンク・柳田悠岐


・ソフトバンク
1位 山下斐紹(習志野高)
2位 柳田悠岐(広島経大)
3位 南貴樹(浦和学院高)
4位 星野大地(岡山東商高)
5位 坂田将人(祐誠高)
※育成指名
1位 安田圭佑(高知ファイティングドッグス)
2位 中原大樹(鹿児島城西高)
3位 伊藤大智郎(誉高)
4位 千賀滉大(蒲郡高)
5位 牧原大成(熊本・城北高)
6位 甲斐拓也(楊志館高)

 西武と同様にこのドラフトで大成功したのがソフトバンクだった。2位で柳田を引き当て、育成枠で千賀、甲斐、牧原と現在の主力になる選手たちの獲得に成功。柳田、千賀、甲斐は侍ジャパンでも不可欠な存在になり、来年開催予定の東京五輪でも活躍が期待される。

楽天・塩見貴洋


・楽天
1位 塩見貴洋(八戸大)
2位 美馬学(東京ガス)
3位 阿部俊人(東北福祉大)
4位 榎本葵(九州国際大付高)
5位 勧野甲輝(PL学園高)
※育成選手
1位 加藤貴大(富山サンダーバーズ)
2位 木村謙吾(仙台育英高)
3位 川口隼人(滋賀・高島ベースボールクラブ)

 大石の「外れ1位」で塩見を獲得。1年目の9勝が自己最多で、2年目以降は腰痛などに苦しんでいる。2位の美馬は先発ローテーションで稼働し、17年には11勝をマーク。昨オフにロッテへFA移籍した。

ロッテ・伊志嶺翔大


・ロッテ
1位 伊志嶺翔大(東海大)
2位 南昌輝(立正大)
3位 小林敦(七十七銀行)
4位 小池翔大(青学大)
5位 江村直也(大阪桐蔭高)
6位 藤谷周平(南カリフォルニア大)
※育成指名
1位 黒沢翔太(城西国際大)
2位 山口祥吾(立花学園高)
3位 石田淳也(NOMOベースボールクラブ)

 斎藤の「外れ1位」で指名したのが伊志嶺。攻守走3拍子そろった外野手として即戦力で期待された。1年目に打率.261、32盗塁をマークしたが、2年目以降は打撃不振で規定打席に到達できず、昨季限りで引退した。

日本ハム・西川遥輝


・日本ハム
1位 斎藤佑樹(早大)
2位 西川遥輝(智弁和歌山高)
3位 乾真大(東洋大)
4位 榎下陽大(九産大)
5位 谷口雄也(愛工大名電高)
6位 齊藤勝(セガサミー)

 1位指名で4球団が競合した斎藤が入団。国民的ヒーローとして活躍が期待されたが、1年目の6勝が自己最多で2年目以降は伸び悩み。18、19年は未勝利と背水の陣を迎えている。2位の西川は3度の盗塁王を獲得するなど不動のリードオフマンになった。


・オリックス
1位 後藤駿太(前橋商高)
2位 三ツ俣大樹(修徳高)
3位 宮崎祐樹(セガサミー)
4位 塚原頌平(つくば秀英高)
5位 深江真登(明石レッドソルジャーズ)

 1位指名で大石を外し、「外れ1位」でも塩見を外し、「外れ外れ1位」の山田もヤクルトにクジで敗れて、「外れ外れ外れ1位」で後藤を指名した。俊足を生かした広い守備範囲は球界屈指で貴重なユーテリティープレーヤーだ。


・巨人
1位 澤村拓一(中大)
2位 宮國椋丞(糸満高)
3位 田中太一(大分工高)
4位 小山雄輝(天理大)
※育成指名
1位 和田凌太(広島工高)
2位 岸敬祐(愛媛マンダリンパイレーツ)
3位 福泉敬大(神戸9クルーズ)
4位 荻野貴幸(愛工大)
5位 財前貴男(エイデン愛工大OB BLITZ)
6位 成瀬功亮(旭川実高)
7位 川口寛人(西多摩倶楽部)
8位 丸毛謙一(大経大)

 巨人入りを熱望していた澤村を指名。1年目から2年連続2ケタ勝利を挙げ、15年から守護神に。16年に最多セーブを獲得した。育成で12球団最多の8人を指名したが、一軍の試合に出場した選手はオリックスに移籍した丸毛のみだった。


・横浜(現DeNA)
1位 須田幸太(JFE東日本)
2位 加賀美希昇(法大)
3位 荒波翔(トヨタ自動車)
4位 小林寛(大院大)
5位 大原慎司(TDK)
6位 福山博之(大商大)
7位 大原淳也(香川オリーブガイナーズ)
8位 鶴岡賢二郎(愛媛マンダリンパイレーツ)
※育成指名
1位 松下一郎(関西外語大)

 大石の「外れ1位」で須田を獲得。3位の荒波はゴールデン・グラブを2度獲得、5位の大原は1年目に新人リーグ最多記録の71試合登板した。6位の福山は2年間の在籍だったが、楽天に移籍してセットアッパーで大ブレークした。


・阪神
1位 榎田大樹(東京ガス)
2位 一二三慎太(東海大相模高)
3位 中谷将大(福工大城東高)
4位 岩本輝(南陽工高)
5位 荒木郁也(明大)
※育成指名
1位 阪口哲也(市立和歌山高)
2位 島本浩也(福知山成美高)
3位 穴田真規(箕面東高)

 大石の「外れ1位」で社会人No.1サウスポー・榎田を獲得。1年目から62試合登板で33ホールドと活躍したが、3年目以降は登板機会を減らして、西武に移籍。18年に11勝を挙げてリーグ優勝に貢献した。育成2位の島本は昨季63試合登板と救援に不可欠な存在に。

広島・中村恭平


・広島
1位 福井優也(早大)
2位 中村恭平(富士大)
3位 岩見優輝(大阪ガス)
4位 金丸将也(東海理化)
5位 磯村嘉孝(中京大中京高)
6位 中崎翔太(日南学園高)
7位 弦本悠希(徳島インディゴソックス)
※育成指名
1位 山野恭介(明豊高)
2位 池ノ内亮介(中京学院大)

 大石の「外れ1位」で福井を獲得。1年目の11年に8勝、15年に9勝と「早大トリオ」の中で最多の通算32勝を挙げている。ただ17年以降は登板機会を減らし、18年オフに楽天に移籍。2位の中村は昨季自己最多の43試合登板と救援で頭角を現した。


・中日
1位 大野雄大(佛教大)
2位 吉川大幾(PL学園高)
3位 武藤祐太(Honda)
4位 森越祐人(名城大)
5位 関啓扶(菰野高)

 各球団が大石、斎藤の1位指名で競合する中、大野を単独指名。3年目から3年連続2ケタ勝利とエース格にのし上がった。18年は未勝利と屈辱を味わったが、昨年は9勝をマークして最優秀防御率(2.58)を獲得。3位の武藤はDeNAで救援として奮闘している。

ヤクルト・山田哲人


・ヤクルト
1位 山田哲人(履正社高)
2位 七條祐樹(伯和ビクトリーズ)
3位 西田明央(北照高)
4位 又野知弥(北照高)
5位 久古健太郎(日本製紙石巻)
6位 川崎成晃(熊本ゴールデンラークス)
※育成指名
1位 北野洸貴(神奈川大)
2位 上野啓輔(香川オリーブガイナーズ)
3位 佐藤貴規(仙台育英高)

 前人未到のトリプルスリーを3度達成を成し遂げた山田は、1位指名で斎藤、塩見をクジで外しての「外れ外れ1位」だった。山田もヤクルトは希望球団だっただけに、その後の活躍を見れば大成功だった。

写真=BBM
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