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オリックスにエースの系譜を再構築させた金子弌大

 

オリックス・バファローズ初年度となった2005年のドラフト自由獲得枠で入団した金子千尋(現・弌大)。のちにエースとなる中で苦闘もあった


 完投にこだわった元ロッテ村田兆治、捕手のサインの見方など、マウンド上でしぐさやから醸し出す雰囲気を大事にし、“風格”を重んじた元阪急の山田久志。6月1日号の週刊ベースボールで『エース特集』を組み、かつての大投手や現役投手の思考や言葉から、エース論を展開した。

週刊ベースボール6月1日号



 エースとは何か──。定義は人それぞれだからこそ、先発投手の“志”を表すものでもある。その意識をのぞき見るためにも、先発投手と話をする際に“自分の中のエースの定義”を聞いてみることは多い。

 そんな中で、印象に残っているのがオリックスに在籍していた当時の金子千尋(現弌大=日本ハム)の言葉だ。

「貯金を作れるのがエースだと思っています。だから、15勝15敗の貯金ゼロより、5勝0敗のほうが僕はいい。それに加えて、チームメートから信頼されて、相手に『対戦したくない』と思わせるような存在感。そういう相手に与える『威圧感』も必要だと思うんです」

 成績を見れば、2014年には16勝5敗、防御率1.98でタイトルを総なめ。沢村賞にも輝いている。周囲は当然、エースとして見ていたが、金子は「成績も大事ですが」と付け加えた。

「もちろん成績で引っ張るのも大事なんですけど、それに加えて普段の練習に取り組む姿勢や態度。そういうのも大事にしているんです」

 そこに具体的な答えはなく、模索を続けていた。

「僕が言うのは、おこがましいのですが、入団してからエースと呼ばれる方を見てこなかった。川越(英隆)さんがいらっしゃいましたけど、中継ぎもやられていましたし。だからエースが、どうあるべきか分からない。不安で、不安で。まだ足りない、まだ足りないと思ってやっているんです」

 結果が求められるだけならば、マウンドで力を発揮するだけだが、“姿勢”となれば、そこに答えはない。エースとしての“自信”がなかったのは、そのためだった。

 それでも、迷いの中で奮闘した姿がチームの財産になったのは確かだ。18年オフに日本ハムへ移籍した金子。その姿を見て成長した山岡泰輔は、今季から金子が背負ったの背番号『19』を継承するこが正式にきまったときに、こう話している。

「ネコ(金子)さんがオリックスのエース番号を作ってくれた。ネコさんに近づきたいし、超えたい。ネコさんみたいな成績を残したいです」

 近鉄とオリックスが合併し、2005年から『オリックス・バファローズ』となって以降、初の“絶対的エース”となった金子が、エースとしての1つの“姿勢”を示した。そしてエースの系譜を再構築させたのは間違いない。

写真=BBM

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