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球団最多安打は「YK砲」のどちら? カープの通算安打数ベスト10を紹介

 

2000本安打超えは4人


球団の通算最多安打は、「鉄人」衣笠祥雄


 創立以来、70周年を迎えた広島カープ。前回のこのコラムでは投手の通算勝利数歴代ベスト10を紹介したが、今回は打者のほうに目を向けて、通算安打数の歴代ベストテンを紹介していこう。実はそれほど意外な名前はランクインしていないので、熱心なファンの方なら、けっこう当てることが可能かもしれない。

 まず1位と2位は、当然永久欠番の2人、山本浩二と衣笠祥雄のYK砲で占められるはず。通算成績はかなり拮抗している2人だけに、果たして安打ではどちらが多いか? ということになるのだが、ここはやはり試合に出続けた分だけ打数が多い衣笠に軍配が上がる。通算2543安打で球団の歴代トップだ。2位の山本浩は2339安打。ちなみに二塁打は山本浩の372本に対して衣笠が1本上回って373本、三塁打では山本浩の21本に対して2本上回って23本と競り勝っている。本塁打ではさすがに山本浩が536本で球団歴代トップ。衣笠は504本だ。

 続いて3、4位。カープでは、在籍時だけで通算2000本安打をクリアした選手は4人だ。となれば、だれとだれかは分かるだろう。3位は2119本で、孤高の天才打者・前田智徳だ。通算打率が.302と3割を超えているところが何と言ってもすごい。プロ6年目に右アキレス腱を断裂する大ケガ、その後も下半身にさまざまな故障を負ったが、不屈の闘志で長く現役を務め、打撃を追求し続けた。故障がなければいったい何本ヒットを打っていたのかが見てみたかった打者である。4位は2020本の野村謙二郎だ。攻守走そろったショートで、若手時代は外野、晩年はサードも守った万能選手。1995年にはトリプルスリーも達成している。

 5位以下は、カープ伝統の機動力野球を体現した一、二番打者がズラリと並ぶ。まず5位は、チームにスイッチヒッターの名選手が続出する流れを作った、第1期黄金時代のトップバッターの高橋慶彦だ。カープ在籍時だけで1741本。通算464盗塁は、チームでは歴代トップだ。6位もスイッチヒッターで、二番を打つことが多かった正田耕三だ。通算1506安打。1987、88年には2年連続首位打者を獲得している。87年は最後にバントヒットを決めて篠塚利夫巨人)と並び、同率首位打者となった。ちなみに通算282犠打は、チームで歴代トップだが、現役の菊池涼介が278なので、これは近いうちに更新されることになるだろう。高橋慶、正田と続くと、頭に浮かぶのは、もう一人のスイッチヒッターの山崎隆造だが、山崎は通算1404安打で、一つ飛んで8位だ。「一番・ライト」という年が多かったが、サードでレギュラーだった年もある。

 7位は、これもトップバッターを多く務めていた緒方孝市で通算1506安打。95〜97年と3年連続盗塁王。その後は長打力を増し、一番だけでなく三番や六番も多かった。9位は、90年代の終わりから2010年過ぎ頃まで、長く一、二番を打った東出輝裕だ。通算安打は1366本。こちらはホームランの少ない打者で、2393打席連続本塁打なしという記録も。

現役トップは菊池


 ここまでずらずらと一、二番タイプが続いてきたが、10位は打って変わってポイントゲッタータイプだ。通算1352安打の水谷実雄。1978年には打率.348で首位打者を獲得しているが、これまで名前が並んできた一、二番タイプの打者とは違って、内野安打が期待できる足は持っていないだけに、この人が重ねたヒットは正真正銘のいい当たりがほとんどのはず。それでこれだけのヒット数を重ねていることが、逆にその技術を物語る。

 投手の勝利数ベスト10と同様、ここでも現役選手の名前が出てこなかったが、2018年まで現役だった新井貴浩が、カープ在籍時だけだと1336安打で11位。現役のトップは菊池涼介の1117安打で16位にいる。今後どこまで積み上げていけるか。ほかに現役では石原慶幸がチームの捕手では唯一の1000超えの1022安打で21位。

 ちなみに、通算1000安打を超えているのは、ほかに山本一義古葉竹識三村敏之金本知憲大和田明栗原健太丸佳浩(現巨人)、藤井弘江藤智小早川毅彦で、計23人。小早川毅彦はカープ在籍時のみだと、ちょうど1000安打だ。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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