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高校野球リポート

夏の甲子園中止――秋季大会開催のために必要な「新たな試合運営」

 

夏の甲子園(全国大会)と地方大会が中止。今後の大会運営は新型コロナウイルスとの「共存」も視野に入れる必要がありそうだ


 3月11日にセンバツ大会が史上初の中止となり、5月20日には夏の甲子園(全国大会)と地方大会が79年ぶりの中止が決まった。この約3カ月で、高校野球界は大きく動いた。

 春、夏ときて、次に直面するのは秋だ。全国47都道府県連盟は現在、3年生最後の花道を飾らせようと「独自大会」「代替大会」に模索しているが、すぐに、2年生以下の新チームのことを考えなければならない時期がくる。

 夏の大会の中止が発表された5月20日、日本高野連・八田英二会長は、秋以降の見通しについてこう語っている。

「秋には都道府県で大会が予定されている。感染状況がつかめないので、その時に考えたい。それまでは情報収集に尽きると思う」

 来春のセンバツ出場校を選出するための貴重な「資料」となる秋の都道府県大会(予選)は、例年であれば、8月20日過ぎに開幕する地域もある。夏の選手権大会は、全49地区(47都道府県)でのトーナメント方式。つまり、一つの負けも許されない。一方、センバツの「一般選考枠」は全国10地区に出場枠が割り振られ、都道府県大会や地区大会敗退校であっても候補校に入ってくる(実力以外も評価対象となる特別枠の21世紀枠も同様)。

 夏の選手権大会は49地区のうちで、1地区でも大会が開催されなければ、全国大会(甲子園)も成り立たないという事情があった。一方で、センバツ大会は主催者が「招待する」という性質上、柔軟な対応も可能となる。もちろん、全国一律により都道府県大会を開催することが望ましいが、各10地区によっての議論となってくるかもしれない。

 今夏、地方大会の開催断念の理由に「感染リスクを完全になくすことはできない」とあった。この事情を今秋にも当てはめて「リスクゼロ」を追求するとなれば、再び、高いハードルをクリアしなければならないことになる。

 八田会長は「専門家の方々は第2波、第3波が来るのは確実である、と。完全に終息する見込みは立たず、長期的なウイルスとの戦いになる」とも語った。

 大会を開催する上で選手、関係者、観衆らの安全と健康が大前提。とはいえ、今後の世の中は、新型コロナウイルスとの「共存」による「新たな生活様式」が叫ばれている。つまり、感染症と向き合う新たな段階へと入った。

 今秋の大会運営においては「リスクゼロ」を目指す中でも、さらに踏み込んだ対策が求められる。「完全な安全の担保」しか許されなければ、全国規模であるセンバツ開催も難しい状況となってしまう。

 全日本野球協会は5月22日、緊急事態宣言解除を受けての競技再開にあたり、新型コロナウイルス感染予防のガイドラインを加盟団体宛に通知した。この「発信」をベースにして、各アマチュア団体は詳細なルールを設けていくことになるが、NPBを含めた日本野球界全体として「新たな試合運営」を確立し、共有していくことが必要となる。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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