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打率、本塁打、打点……遊撃手のシーズン打撃成績のトップは誰?

 


 現役選手の中で最も高い打力を誇る遊撃手といえば巨人の坂本勇人だ。2019年は打率.312、173安打と巧みなバットコントロールでヒットを量産するだけでなく、40本塁打とパワーのあるところも見せつけた。この40本塁打は、遊撃手のシーズン記録としては歴代2位。では、坂本を上回る成績を残したのは誰なのかご存じだろうか。遊撃手のシーズン打撃成績の「歴代トップ」をまとめてみた。

スターばかりの激戦区で歴代1位なのは?



●本塁打……41本 宇野勝(中日/1985年)

 遊撃手のシーズン最多本塁打記録は、1985年に中日の宇野勝が記録した41本だ。強打を武器にクリーンアップを任されていた宇野は、前年の1984年に37本塁打を放ち初の最多本塁打のタイトルを獲得。1985年もホームランを量産し、キャリアハイとなる41本塁打を記録した。残念ながらこの年は阪神ランディ・バースが54本塁打と驚異的な数字を残したため、2年連続でのタイトル獲得はならなかったが、遊撃手としては最高記録となった。


●打率…….346 西岡剛(ロッテ/2010年)

 遊撃手のシーズン最高打率は、2010年にロッテの西岡剛が記録した打率.346が歴代トップ。2009年に打率.260とふがいない成績に終わった西岡だが、2010年はシーズン序盤から好調で、最後までその調子を維持。NPB記録となるシーズン27度の猛打賞もマークし、終わってみれば遊撃手として歴代最高打率を記録した。2010年のロッテはリーグ3位からCSを勝ち抜き日本一にもなったが、西岡の活躍がなければ日本一はおろかCS進出も難しかっただろう。

●安打……206 西岡剛(ロッテ/2010年)

 2010年に遊撃手としてのシーズン最高打率を記録した西岡は、同時に206本の最多安打記録も樹立した。それまでのチーム最高記録は、元祖「安打製造機」の榎本喜八がマークした180安打だったが、これを大幅に更新。内野手のシーズン200安打はパ・リーグでも、スイッチヒッターとしても初めての記録と、初もの尽くしだった。ちなみに、シーズン開幕前に西岡は「ヒット1本につき『リボン運動・がんの薬を普及する会』に1万円を寄付する」という活動を開始。これもプレーの原動力になったのだろう。

阪神・鳥谷敬


●打点……104 鳥谷敬(阪神/2010年)

 遊撃手のシーズン最高打点は、現在はロッテに所属する鳥谷敬が阪神時代の2010年に樹立した。この年の鳥谷は5月に骨折による離脱を経験するが、復帰後は調子を取り戻し、自身初の月間MVPを受賞。10月には遊撃手としては初の100打点に到達し、最終的に104打点でシーズンを終えた。それまでの最高記録は1990年にヤクルト池山隆寛が記録した97打点。松井稼頭央などバッティングに定評のあった遊撃手も100打点は超えられなかったが、鳥谷はその厚い壁を見事に乗り越えた。

阪急・河野旭輝


●盗塁……85 河野旭輝(阪急/1956年)

 盗塁は、1956年に阪急の河野旭輝がマークした85が最高記録。1954年に入団した河野は、翌年にラリー・レインズの後釜として遊撃手に抜擢されると、1956年には当時の日本記録となる85盗塁を記録した(後に福本豊がシーズン106盗塁で更新)。ただ、河野は出塁すると積極的に盗塁を試みるため、85盗塁を記録したものの盗塁失敗も29と多かった。この29盗塁刺は今なお破られていないNPB記録だ。

●出塁率…….433 坂本勇人(巨人/2016年)

 巨人の坂本は2016年に出塁率.433を記録し、自身初となるリーグ最高出塁率のタイトルを獲得。実はこの数字は歴代遊撃手の中でもトップなのだ。それまでは2010年に遊撃手としてのシーズン打率、安打数記録を作った西岡の.423が最高だったが、坂本はそれを上回る成績を残した。

 ちなみに、坂本のシーズン本塁打は1本差の2位。打率は2018年に.345を記録しており、こちらもわずか1厘差で歴代2位。出塁率以外も歴代トップに迫る成績を残している。ここ数年の坂本はかつてないほど好調を維持しており、複数の部門で遊撃手としての歴代トップになることも夢ではない。

 遊撃手のシーズン打撃成績トップをまとめてみたが、いかがだっただろうか。現役の遊撃手は「守備に定評のある選手」は多いが、打力となると巨人の坂本が頭一つも二つも抜けている状況。ただ、驚異的な成長力で若手が台頭したり、ベテランが記録更新したりといったことがあり得るのが野球の面白いところ。今シーズンは、遊撃手のシーズン成績が更新されるかどうかも踏まえて観戦してはどうだろうか。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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