歴代通算安打の上位選手を見ると、
張本勲や
野村克也、
王貞治といったNPB史に名を残すレジェンドばかりが並んでいる。張本は巧みなバットコントロールで首位打者に輝き、野村と王も同じく首位打者を獲得している選手だ。当時表彰はなかったが、いずれもリーグ最多安打も記録している。では、通算安打の上位の中で「首位打者・最多安打のタイトルを獲得していない選手」は何人いるのだろうか?
中には打撃タイトル自体無縁だった選手も
歴代通算安打TOP30までの選手のうち、首位打者・最多安打のタイトルを獲得していない選手は以下の9人。
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門田博光 2566本
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金本知憲 2539本
・立浪和義 2480本
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高木守道 2274本
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新井貴浩 2203本
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秋山幸二 2157本
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宮本慎也 2133本
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清原和博 2122本
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前田智徳 2119本
通算安打歴代4位の門田博光は、最多本塁打3回、最多打点2回、最高出塁率を3回と数々のタイトルを獲得。リーグMVPにも選ばれたが、どちらかといえばホームランバッターのため、首位打者と最多安打は獲得できていない。
歴代7位の金本知憲は、バットコントロール技術の高さとパワーを兼ね備えた選手だったが、打率は2005年のリーグ3位が最高、安打も同じく2005年の4位が最高。実はタイトルに輝いたことはないのだ。
三代目ミスタードラゴンズの立浪和義は、通算二塁打487本のNPB記録を持っている選手だが、首位打者・最多安打はおろか、打撃タイトルとは無縁に終わっている。首位打者は1996年(リーグ3位)や2004年(リーグ7位)など惜しい年はあったものの、あと一歩届かなかった。
先代ミスタードラゴンズ・高木守道も華麗な守備と俊足巧打が特徴の選手だが、最多盗塁以外の打撃タイトルは獲得できていない。
通算安打歴代20位の新井貴浩も、2010年にはリーグ7位の打率を記録しているが、首位打者・最多安打のタイトルは獲得していない選手。通算安打24位の秋山幸二、28位の清原和博もそうだが、この3人は大砲タイプなので首位打者・最多安打のタイトル獲得は難しかったといえる。
ただ、球史に残る天才打者・前田智徳が、首位打者・最多安打のタイトルを獲得していないのは意外ではないだろうか。1990年代には何度も首位打者争いを繰り広げており、いつかは首位打者を取れると目されていたが、結局無冠のまま現役を引退。1994年にわずか3厘差で首位打者を逃したのが悔やまれるところだ(ちなみにその時の首位打者は中日の
アロンゾ・パウエルで、そこから3年連続で首位打者になっている)。
新井や秋山、清原とは反対に、打つイメージはないが通算安打上位に食い込んでいるのが歴代26位の宮本慎也。現役時代は好守とリーグ最多犠打を5度記録したバントでチームを支えた選手なので、首位打者・最多安打のタイトルがないのはイメージどおりだろう。
「通算安打上位で首位打者・最多安打のタイトルを獲得していない選手」をまとめてみた。現役選手では、
ロッテの
鳥谷敬が通算安打上位ながら首位打者・最多安打は獲得していない選手。今シーズンは
阪神からロッテへと活躍の場を移したが、心機一転し、念願のタイトル獲得となるか、活躍を期待したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM