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2020ドラフト

スカウトも活動再開。当面は社会人その後、大学、高校へシフトチェンジ

 

「無観客試合」で行われた社会人野球のオープン戦。NPBスカウトは3月末以来となる選手視察に目を光らせた


 スカウトもようやく「再始動」した。

 NPB各球団は新型コロナウイルス感染拡大と、政府による緊急事態宣言発令を受けて、スカウト活動を自粛していた。NPBと日本学生野球協会(全日本大学野球連盟、日本高野連)は5月29日、NPBのスカウト活動再開について合意したことを発表。同30日から加盟校への連絡、6月1日からの練習や練習試合の視察が解禁された。

 また、社会人野球を統括する日本野球連盟では、6月6日から対外試合自粛を解除。同7日にはJR東日本グラウンドでJR東日本と日本製鉄かずさマジックが対戦(無観客試合)し、5球団7人のNPBスカウトが視察した。

 人との距離を取って着席。マスクを着用したあるスカウトは、グラウンドに目を光らせながらも、笑顔を見せた。

「3月末以来です。この約2カ月間、基本的に自宅で過ごしていました。散歩、筋トレ、料理……。空いた時間には対象選手の動画を見てチェックをしていました。好きな仕事ですので、この日を迎えられて良かったです」

 もう一人のスカウトは、現実的な話をした。

「高校、大学は活動が再開したばかりで、視察に値しません。許可(高校は学校長、大学は大学当局)も必要であり、現場の指導者に迷惑がかかる可能性もある。しっかりと土台を作ってもらって、6月中旬以降から平日の練習、土・日の練習試合と、担当地区でリストアップしている約30人を、一気に回ろうと思っています。高校生は8月中旬には(地方大会が)終わってしまいますので……。見ておかないと不安。後から周囲から『あの選手良かったですよ』とは聞きたくないですから」

 社会人球界は緊急事態宣言中も、可能な限り、自主練習らで体を動かしてきた。この7日にオープン戦が行われたように、ある程度、体は仕上がっている。同スカウトは当面、社会人の視察に専念し、その後、高校と大学にシフトチェンジしていくという。久しぶりの現場で、3月末以来の視察に感慨深かった。

「ひと言で言えば、野球っていいな、と。やるのも、見るのも素晴らしいスポーツです。野球に育ててもらった人間ですから。コロナが収まって、活発になることを祈るばかりです」

 毎年であれば、真っ黒である各NPBスカウトも、まだ、日焼けをしていない。2カ月以上の「活動自粛」を物語る光景であった。

文=岡本朋祐 写真=中島奈津子
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