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野茂英雄、小池秀郎、大場翔太……ドラフトで6球団以上が競合した逸材たち

 

 ドラフトでは過去にさまざまなドラマが繰り広げられた。複数球団の争奪戦となり、希望球団に入団した選手がいれば、意中でない球団の指名に入団拒否した選手も。以下に過去に6球団以上から指名された8人の選手を紹介したが、その野球人生は十人十色で興味深い。

近鉄・野茂英雄


・野茂英雄(新日鉄堺) 89年ドラフト 1位で8球団競合
※NPB通算成績 139試合登板、78勝46敗1セーブ、防御率3.15
※MLB通算成績 323試合登板、123勝109敗、防御率4.24

 ソウル五輪での銀メダル獲得に貢献するなどアマチュアNo.1投手として注目されていた。ドラフトでは史上最多競合数の8球団が競合。当時近鉄の仰木彬監督が見事に当たりクジを引き当てた。新人から4年連続最多勝と大活躍。メジャーでも日本人大リーガーのパイオニアとして、「トルネード投法」が社会現象になるほどの活躍を見せた。ちなみにドラフトで野茂を外した大洋(現横浜)は佐々木主浩ロッテ小宮山悟阪神葛西稔ヤクルト西村龍次を獲得するなど大豊作の年だった。

近鉄・小池秀郎


・小池秀郎(亜大) 90年ドラフト 1位で8球団競合
※通算成績 309試合登板、51勝47敗2セーブ、防御率4.40

 アマチュアNo.1の即戦力左腕として、どの球団ものどから手が出るほど欲しい逸材だった。前年の野茂とともに史上最多の8球団が競合。ロッテが当たりを引き当てたが、小池は落胆の表情を浮かべて入団拒否した。社会人野球・松下電器に進み、92年のドラフト1位で単独指名された近鉄に入団。97年に最多勝を挙げ、現役後半はサイドスローに転向して03年に救援でリーグ最多の65試合に登板した。現役時代が物足りなく感じたのは、アマチュア時代の輝きがあまりにもまぶしかったからだろう。

福留孝介(PL学園高) 95年ドラフト 1位で7球団競合
※NPB通算成績 1866試合出場、打率.291、280本塁打、1045打点
※MLB通算成績 596試合出場、打率.258、42本塁打、195打点

 現役最年長の43歳で現在も奮闘する福留はPL学園高で高校No.1スラッガーとして名を馳せ、高校生史上最多の7球団がドラフトで競合した。抽選に臨んだ当時近鉄の佐々木恭介監督が当たりクジを引き、「ヨッシャー」と叫んで喜びを爆発させたが、福留は巨人中日以外なら社会人に進むことを表明していたため、近鉄に入団せずに社会人の日本生命へ。98年ドラフトで中日を逆指名して1位で入団した。

岡田彰布(早大) 79年ドラフト 1位で6球団競合
※通算成績 1639試合出場、打率.277、247本塁打、836打点

 早大で史上4人目の六大学リーグ三冠王に輝くなど屈指の強打者として評価され、6球団が競合。大阪出身の岡田は阪神への入団を希望していたが、相思相愛で阪神が交渉権を引き当てた。強打のセカンドとして活躍し、ランディー・バース、掛布雅之と組んだクリーンアップは史上最強の呼び声高い。監督としても阪神、オリックスを歴任し、選手の人望が厚かった。


・清原和博(PL学園高) 85年ドラフト 1位で6球団が競合
※通算成績 2338試合出場、打率.272、525本塁打、1530打点

 現在も語り継がれている伝説のドラフト。同級生の桑田真澄と「KKコンビ」の進路が注目され、巨人への入団を熱望していた清原には6球団が競合した。清原と相思相愛とみられていた巨人は大学進学を予定していた桑田を単独指名し、西武が当たりクジを引いた清原は会見場で涙した。悩んだ末に入団し、入団1年目に打率.304、31本塁打、78打点と高卒新人の歴代最高成績をマーク。西武の黄金時代の中心選手として活躍し、その後はFA移籍で巨人に。退団後はオリックスでプレーした。

大場翔太(東洋大) 07年大学生・社会人ドラフト 1巡目で6球団が競合
※通算成績 85試合登板、15勝21敗、防御率4.39

 東洋大で東都大学リーグ通算33勝をマークし、日米野球でも敵地で初優勝に大きく貢献するなど「平成の鉄腕」として評価を上げ、6球団が競合してソフトバンクへ。1年目に3月23日の楽天戦でパリーグ初の初登板無四球完封勝利を飾り、4月5日のロッテ戦では7者連続三振を含む球団新記録の16奪三振で2度目の無四球完封勝利と大きな可能性を感じさせたが、シーズン最多は7勝止まり。打たれだすと止まらなくなるなど精神面の課題を指摘されていた。16年限りで現役を引退した。

西武・菊池雄星


・菊池雄星(花巻東高) 09年ドラフト 1位で6球団が競合
※NPB通算成績 158試合登板、73勝46敗1セーブ、防御率2.77
※MLB通算成績 32試合登板、6勝11敗、防御率5.46

 甲子園で最速154キロを計測した本格派左腕はメジャーからも注目され、ドラフト前に国内12球団、メジャーの8球団と面談を行って動向が注目された。日本でプレーすることを決断し、ドラフトで6球団が競合。当時の西武・渡辺久信監督が当たりクジを引いた。入団後数年は伸び悩んだが、プロ7年目の16年に初の2ケタ勝利となる12勝を挙げ、17年には16勝、防御率1.97でタイトルを獲得と覚醒。19年からポスティングシステムで移籍したマリナーズでプレーしている。

西武・大石達也


・大石達也(早大) 10年ドラフト 1位で6球団が競合
※通算成績 132試合登板、5勝6敗8セーブ12ホールド、防御率3.64 

 斎藤佑樹福井優也とともに「早大トリオ」が注目を集めたドラフトで、大石には6球団が競合。前年に菊池の当たりクジを引き当てた西武の渡辺久信監督(当時)が、2年連続で6分の1の当たりクジを引き当てた。しかし、プロでは度重なる右肩痛に悩まされて目立った活躍ができず19年限りで現役引退。現在は西武の球団スタッフとして活動している。

写真=BBM
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