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過密日程の影響は? 2020シーズンを勝ち抜くポイント/球界の論点

 

スコアラーの存在感が増す


8年ぶりの日本一を狙う巨人原辰徳監督


 待ちに待ったプロ野球の2000年シーズンが開幕する。新型コロナウイルス感染の脅威はいまだぬぐえないが、最善の対策を尽くしながらのペナントレースとなる。斉藤惇コミッショナーは「閉塞感に苦しんだ国民を勇気づけ、ほかのスポーツにも開催の指針を示したい」と宣言。ウイルスと共存するポストコロナ時代のシンボルとしてペナントレースを戦う12球団に注目したい。

 例年どおりセ・パ両リーグとも戦力層の厚いチームがペナントレースを制することには変わりない。セは、エースの菅野智之を柱に2年連続リーグ制覇と8年ぶりの日本一奪還を目指す巨人を軸に、他5チームがもつれる混戦模様となりそう。筒香嘉智が抜けたDeNAジョン・エドワーズジャスティン・ボーアら新外国人がカギを握る阪神根尾昂石川昂弥ら新鋭に期待が集まる中日はどのようにして戦うか。球団では53年ぶりの投手出身監督として投手王国の復活に意気込む広島佐々岡真司、20歳の主砲・村上宗隆を擁して最下位脱出を期すヤクルト高津臣吾の2人の新監督にも注目したい。

 パは、球界を代表する千賀滉大柳田悠岐ら分厚い戦力で4年連続日本一を狙うソフトバンクと、2年連続で本塁打のタイトルを奪うなど風格が出てきた山川穂高、昨年の最優秀選手・森友哉らが並ぶ強力打線が売りの西武が抜けている。この2強に、則本昂大上沢直之と投手陣の大黒柱が戻ってきた三木肇率いる新生楽天、球団最長の9年目を迎えた栗山日本ハムがどう食らいつくか。ロッテの160キロ高卒ルーキーの佐々木朗希、メジャー通算282本塁打を放ったオリックスアダム・ジョーンズといった新鮮な戦力も楽しみだ。

 新型コロナの影響で、今シーズンは予定よりも23試合少ない120試合となった。セ、パによる交流戦が2005年に導入してから初めて取りやめとなり、オールスターゲームも中止が決定。パに比べてドーム球場が少なく、試合の消化が遅れそうなセは、クライマックスシリーズ(CS)もなくなった。だが、試合数が大幅に削減されたとはいえ、単純に選手の負担減につながったとは言えない。開幕が当初より3カ月遅れたことで、スケジュールはより過密となった。

 両リーグとも連戦に次ぐ連戦。空調の効いたドーム以外の球場が本拠地となる球団は、苦戦を強いられるだろう。特に北海道から九州まで移動距離の長いパは、精神的、肉体的にもつらい1年となる。パは同一カードにより6連戦も8月23日まで組まれている(一部5連戦あり)。バッターやリリーフピッチャーが状態や傾向をつかまれると切り替えが難しく、同じ相手だけに大連敗もあり得るだろう。直近のデータを収集、解析することが例年以上に重要となりスコアラーの存在感が増すシーズンとなりそうだ。

先発&救援陣の頭数は必要


 選手は3月下旬から約2カ月実戦を離れ、長過ぎた自主トレーニングから数少ない練習試合しかできないままの公式戦スタートとなる。ベンチにしてみれば、開幕直後は選手それぞれの調子やコンディショニングの見極めができず、絶対に無理をさせられないという足かせもあり、ベストの布陣を組みにくい。先行して開催し、プロ野球も注視していた韓国プロ野球では、肉離れなどが多発しているという。不確定要素が働きかけるアクシデントが起きる可能性も考えられ、各チームとも例年とは違った戦い方を強いられる場合がある。
 
 投手陣で言うと、先発だけではなく救援陣も頭数が必要になる。ソフトバンクの工藤公康監督が「特に最初の1、2週間は先発が長いイニングというわけにはいかない」と話すように、継投策が必至。延長10回で打ち切りになるとはいえ、投手陣には過酷なシーズンとなるだろう。野手は、故障明けやベテラン選手の状態に細心の注意を払いながらの起用となる。コロナ禍というイレギュラーな状況下では、柔軟な戦略に長けたチームがペナントを手にすることになる。

写真=BBM
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