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いきなり大抜擢! 新人の開幕投手は過去何人いた? 新外国人は?

 

 開幕投手はチームのエースが任されることが多い。つまり、開幕投手には実績が必要なのだ。しかし、新人投手がいきなり起用されることもある。では、開幕投手に入団1年目の新人が抜擢されたことは過去何度あったのだろうか? 今回は「新人の開幕投手」について調べてみた。

NPB黎明期は多かったが……



 2リーグ制となった1950年以降で、開幕戦のマウンドに立った新人投手は以下の13人。

成田啓二(国鉄)1950年3月10日 対大洋
榎原好(毎日)1950年3月10日 対西鉄
杉浦竜太郎広島)1951年4月7日 対大阪
三船正俊阪神)1952年3月20日 対名古屋
・大田垣(備前)喜夫(広島)1952年3月21日 対松竹

梶本隆夫(阪急)1954年3月27日 対高橋
西村一孔(阪神)1955年4月5日 対大洋
牧野伸(東映)1956年3月21日 対毎日
杉浦忠(南海)1958年4月5日 対東映
伊藤芳明巨人)1958年4月11日 対国鉄

城之内邦雄(巨人)1962年4月7日 対阪神
・高野光(ヤクルト)1984年4月6日 対大洋
則本昂大楽天)2013年3月29日 対ソフトバンク

 2リーグ制となった1950年は、国鉄の成田啓二と毎日の榎原好が新人ながら開幕投手を務めた。翌1951年は広島の杉浦竜太郎が起用され、1952年は広島が再び新人の大田垣喜夫を抜擢し、見事に2年連続で新人による開幕勝利を飾った。阪神も1952年の三船正俊、1955年の西村一孔と2回新人を開幕投手に指名している。また、1958年には南海が新人の杉浦忠を開幕に起用。杉浦は後に球史に名を残す大エースへと成長した。

 新人の開幕投手例は1950年代がほとんどで、1962年に巨人の城之内邦雄が抜擢されて以降は、1984年の高野光まで22年もの期間が空いている。城之内まではすべてドラフト導入前のもので、ドラフトが導入されてからの新人の開幕起用は高野が初のケースだった。その後、セ・リーグでは現在に至るまでルーキーが開幕投手に起用されたことはない。

 一方、パ・リーグでは高野の起用から29年後の2013年に、楽天の則本昂大が開幕投手に抜擢されている。エースの田中将大がWBCに出場していたことで異例の起用となったが、球界全体では29年ぶり、パ・リーグでは55年ぶりの快挙だった。

 上記13人のうち、見事に開幕戦に勝利したのは7人。残る6人のうち牧野伸は勝敗がつかず、成田啓二、伊藤芳明、城之内邦雄、高野光、則本昂大の5人は残念ながら敗戦投手となっている。1950年代はルーキーでもいきなり好投することが多かったが、時代を追うごとに活躍するのが難しくなっているようだ。

新外国人助っ人の開幕起用は?


阪神・キーオ


 入団1年目の助っ人外国人がいきなり開幕戦に起用される、という驚きの例も過去3度だけ起こっている。新外国人で初めて開幕のマウンドを任されたのが阪神のマット・キーオだ。来日1年目の1987年にヤクルトとの開幕戦で登板。7回途中5失点でこの試合には負けてしまったが、その後は暗黒期に突入した阪神投手陣を支え続けた。

 キーオから13年後の2000年には、近鉄の新外国人ボブ・ウォルコットが開幕戦に登板している。この試合は好投したものの残念ながら敗戦。その後の活躍が期待されたが、17試合に登板して3勝4敗とピリッとせず、そのシーズン限りで退団となった。

 2018年には日本ハムが新助っ人ブライアン・ロドリゲス西武との開幕戦に起用した。しかし、強力西武打線の前になすすべもなく3回8失点で降板。敗戦投手になっている。つまり新外国人の開幕起用は3戦全敗。前述の高野と則本も含めると、1980年以降に開幕戦で起用された新人・新外国人はすべて負けていることになる。この結果を踏まえると、1年目の新人や新助っ人を開幕戦に起用するのは避けた方がいいのかもしれない。

 今年のプロ野球は6月19日にようやく開幕を迎えることになるが、現在のところルーキーの開幕投手への抜擢はない模様。だが今後、異例の大抜擢が起こる可能性もゼロではない。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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