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川口和久WEBコラム

100球エースの価値、大瀬良大地の完投の価値/川口和久WEBコラム

 

エースには完投してほしい


開幕戦で、ただ一人の完投だった大瀬良


 開幕投手はエースが務める。これは昔からの決まりのようなものだ。
 3カ月遅れの開幕、6.19のマウンドに立った12人も、もちろん各チームが誇るエースである。

 ただし、開幕戦だけではないが、今季の大きな特徴は先発が、ほぼ「100球」で降板していることだ。これまでも基本はそうだったが、今季はかなり徹底している。
 阪神西勇輝のように、交代時もまだ余力を感じる投手が多かったし、競った展開で交代し、後続がつかまって、試合が崩れてしまうこともあった。

 前代未聞の過密日程をやり繰りする中で仕方ない選択とも思うのだが、はっきり言えば、少し寂しさがある。
100球となると、投球術を備えたエース格の選手たちでさえ、7回程度だろう。
 完投はまずできない。

 1つの戦略として、今後、先発を中5日で回すための100球なら先発の頭数を減らし、リリーフに回すためと分からなくはないが、昨年までのように中6日でも100球で行くなら、夏場のスタートだけに、早々に中継ぎがパンクする可能性もある。

 加えるなら、エースが中6日で登板するなら、やはり完投を目指してほしい。大勢が決した後まで投げろとは言わないが、競った展開なら勝ち負けを背負ってほしいと思う。

 今季の場合、中6日なら20試合か21試合しか登板できない。100球じゃ勝ち負けがつかないときもあるだろうし、球宴のブレークがない中、果たして一度も休まず、最後までローテを守り切れるかという疑問もある。
 最多勝が1ケタになったり、昔もあったが、むしろ救援勝利が増え、最多勝がリリーフ投手という可能性もあるだろう。

 そんな中で唯一完投したのが、広島大瀬良大地だった。あの試合はDeNA今永昇太と投げ合いだったが、序盤から飛ばした今永に比べ、立ち上がりはのらりくらりで,要所要所でギアを上げた印象がある。
 頭の中に間違いなく完投はあったと思う。

 今の時代、完投不要論があるが、あの試合は佐々岡真司監督がエースの大瀬良に完投を託し、大瀬良がそれを実現させた。
 120分の1だが、それを開幕戦でやったことは大きな意味があると思う。

 大瀬良は打ってもタイムリーと本塁打。ワンマンショーではあったが、あの試合に関しては、大瀬良一人で勝ったとは言えない。
 匹敵する貢献者がいた。途中からサードに入った三好匠だ。
 8回裏、2対1で勝っている場面だったが、一死三塁で代打オースティン。その強烈な打球を好捕し、ホームでアウトした。あそこは少しつかみそこなっただけでもセーフだったと思うし、同点になれば流れが変わり、大瀬良も交代していたかもしれない。

 1プレーが勝負を左右するのが、野球の醍醐味の一つだ。そんなスーパープレーを見られるときがまた、やって来た。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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