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週べ60周年記念

いざ打倒巨人、そして悲願の日本一へ。西本阪急に勝算あり!/週べ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

昭和43年組の躍動


表紙は阪急・西本幸雄監督


 今回は『1971年10月18日号』。定価は90円。
 
 9月28日、マジック2で迎えた2位のロッテ戦(東京スタジアム)に10対4で大勝し、阪急がついに優勝決定。2回からリリーフした山田久志が22勝を挙げた。
 この試合の先発は米田哲也だったが、制球難と見ると、すぐさま山田にチェンジした。

 この試合、セの覇者巨人長嶋茂雄王貞治らほぼ選手全員がネット裏で視察したが、彼らが驚いていたのは2盗塁をした福本豊の足だ。
 王は「速い。確かに速い。あれじゃ走られて当たり前だ」。
 相手となる捕手の森昌彦は、
「パ・リーグの捕手で殺せんものをなんでワシが殺せるんや。それよりいかに塁に出さんか考えんとな」
 と冗談めかしつつ話していた。

 ネット裏、ほかの選手から離れ、一番低い場所で見ていたのが長嶋。彼のお目当ては山田だった。
「山田の特徴は高めで勝負することだ。ふつう下手投げは、絶対といっていいほど高めにはほうらない。それが山田は違う。よほど球の威力に自信があるのだろう。実際に球は速い」
 と警戒した。

 今回で阪急と巨人の日本シリーズは4度目。過去は6勝12敗だ。常に巨人有利が言われてきたが、この年は違う。
 両軍のOBである青田昇は、
「戦力的には阪急やろね。ただ、巨人は試合の流れを確実につかんで勝つ方法を知っているだけに、7試合の短期決戦となると物を言う。
 阪急が地力に物を言わせて、巨人を頭から押さえつけてギャフンと言わせるかどうかが問題やね」
 さすが鋭い。

 西本監督は阪急有利の声が多いと聞き、
「もしそんな世評があるなら、世評通りの答えを出したいと思う」
 と話した。

 西本監督の秘密兵器的存在が加藤秀司だった。この年から三番に抜てきした左打者だが、粗そうに見えて、実はどんな球にも対応できるタイプ。
 西本監督は、
「型にはまった男ばかりでは巨人に勝てんよ。型破りの男が多いほど、優等生ぞろいの巨人に対して通用するんだ」
 と話す。
 アンダースローながら速球派の山田、小兵の俊足ながら実は一発も秘めた福本、自在の打撃を誇る加藤。
 いずれも昭和43年秋のドラフトで指名し、西本監督が厳しく鍛え上げた3人組で、いざ、悲願の日本一へ向かう。

 では、また月曜に。

<次回に続く>

写真=BBM
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