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柳田悠岐が逆方向に「打った瞬間弾」連発で、「投げる球がない」と嘆きの声が

 


 ソフトバンク・柳田悠岐が放つ驚愕のアーチが話題を読んでいる。通常、打った瞬間にホームランと分かる打球は引っ張った会心の当たりを指す。だが、柳田は違う。逆方向に力強い打球がスタンドインする。

 7月10日の楽天戦(PayPayドーム)で放ったサヨナラアーチは象徴的だった。シャギワの外角高めの直球を振り抜くと、フォロースルーの体勢のまま左翼席に飛んだ打球の行方を見守った。打った瞬間にベンチの選手たちも高々と拳を突き上げる「打った瞬間弾」だった。12日の楽天戦(同)も初回に相手右腕・石橋良太の外角低めの直球を再び逆方向のテラス席へ。決して簡単な球ではない。だが、振り抜いた瞬間に本塁打と確信させる打球だった。

 他球団のスコアラーは柳田のすごみをこう分析する。「逆方向に引っ張ったような打球を打つ。あり得ない弾道ですよ。左打者で逆方向にあれだけ飛ばせる選手は見たことがない。体勢を崩されても、こすった打球でもスタンドに届いてしまう。正直、状態が良いときの柳田は投げる球がない。投手には『柳田は別物だから打たれても自分の球を疑うな』と伝えています」。

 柳田の強みは広角に本塁打を打てることだ。自己最多の36本塁打を放った18年の打球方向を見ると、左方向が12本、中堅が8本、右方向が16本と偏りがない。ちなみに同年に47本塁打を放ってタイトルを獲得した西武山川穂高は引っ張った左方向が36本、中堅が8本と全体の9割以上を占め、逆方向の右方向は2本のみと対照的だった。

 今季リーグトップの10本塁打を放っている楽天・浅村栄斗も、柳田と同様に逆方向に本塁打を打てるのが特徴だ。西武からFA移籍1年目の昨年は自己最多の33本塁打を放ったが、左方向が11本、中堅が5本に対して、右方向は17本と半分以上を占める。

 今季は例年より少ない120試合制だが、柳田、山川、浅村のタイトル争いは40本塁打を超える可能性が十分にある。柳田は昨年4月に「左半膜様筋腱損傷」で長期離脱し、38試合の出場にとどまっただけに、今季に期する思いは強いだろう。強引に引っ張らず、逆方向への「打った瞬間弾」が何本見られるかが、打撃の状態を図るバロメーターになるかもしれない。

写真=BBM
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