一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 大洋がハワイから新外国人獲得に動く
今回は『1971年11月1日号』。定価は90円。
ロッテの大型移籍の続報もあった。
シーズン最終戦で、
江藤慎一が野村収との交換で大洋へ移籍と発表。
その後、ロペスも
外山義明との交換で
ヤクルトへ移籍した。
江藤は首位打者、ロペスも3割打者とあって、ロッテ側が損と言われた、という話をした。
ロペスは、「ボクのアパートのある赤坂から神宮は地下鉄で5分。ヤクルトには親友のデーブ(ロバーツ)もいるし、ハッピーだよ」と喜んでいた。さらに、
「江藤さんと大沢さんは年も近いし、性格も強気で似ている。だからお互いに反目し合ったんじゃないか。ミー? 僕がヤクルトに行ったのは、ミハラさん(
三原脩監督)から強く望まれたからさ。それが理由のすべてだよ」
いつも
楽天的な男だった
江藤を獲得した大洋が最初に狙っていたのは、東映の
張本勲だったが、話が新聞に漏れ、大々的に報じられたことで、中部オーナーが「事前に漏れたトレードがうまくいった試しはない」とやめたという。
その後、江藤にターゲットを絞り、投手を欲しがったロッテに対し、「平松(
平松政次)、小谷(
小谷正勝)以外なら」と言い、二軍監督時代から野村の才能に注目していた
大沢啓二監督の希望もあり、野村と1対1が決まったらしい。
前年4勝3敗ながら、将来性を買った、と言われれば、江藤を出したかったことを加味すれば分からないではない。
ただ、ロペスと外山はどうか。二刀流で話題となった外山だが、ロッテの期待は左腕投手として。しかも、すでにヒジの故障に苦しんでいた。
これもロペスの言葉。
「ボクとトヤマでつり合いが取れているとは思わない。エトーさんとノムラもそうだけど、これは選手だけのトレードと思えない。プラス・キャッシュじゃないかな」
推測と断りつつ、金銭があったのではと話している。
実際、ロッテが銀行に返済を迫られている大口の借金3000万円があり、それでなくとも赤字の球団への支出を減らしたがっている、というウワサもあった。
高額年俸者の放出を進めるとなると、次のターゲットは間違いなく、
榎本喜八と言われていた。
また、江藤を獲った大洋は、次は外国人獲得に動く。交流のあったハワイ・アイランダースの関係者を日本に招き、成績不振の
ワーハスを引き取ってもらい、誰か代わりをくれないか、と打診。クレート・ボイヤーらの名前が出たが、「それならいらない」と一度、断ったらしい。
これを聞いて、メジャー通は絶句していたはずだ。
ボイヤー、メジャー通算1396安打ながら打撃は今一つだが、守備は一流の名三塁手。一言多い性格から干されてハワイでプレーしていた男だ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM